1. 「卵子凍結保存」の実情とは?【高齢出産、不妊治療を考える】

2017.05.28

「卵子凍結保存」の実情とは?【高齢出産、不妊治療を考える】

「子どもは欲しいけど、今は仕事が優先……」そんな女性の選択肢を広げてくれた「卵子凍結」の実情について、TVディレクター/ライターの藤村美里さんに教えていただきました。

卵子を凍結保存したい女性は約半数

「今は業務に集中して取り組んでキャリアの構築に専念したい。キャリアの構築と結婚、出産を希望するタイミングが合致しない(26歳・会社員・神奈川県)」

「妊活は相手と自分のタイミングが合わないとできない。私は働いてある程度の社会的地位に立ちたいが、30歳前に妊活を行うと産休や育休がキャリアアップの障害となる。キャリアを積んだ後に子どもを生むためにも、若いうちに卵子を凍結し、良い状態で残すことは有効な手段だと思う(26歳・会社員・愛知県)」


仕事をスタートしてすぐの時期と妊娠に適している時期が重なるだけに、難しさを感じている人は少なくない。

また、娘がいる母親の立場から、娘が望めば卵子凍結保存の費用は親が持ってでもさせたいという声もあった。

「人生何が起きるかわからない。現在、2歳の娘がいるが、20歳ぐらいになったら卵子の凍結をさせたい(費用は親持ち)。早く結婚すればいいが、20代で結婚相手が見つからないかもしれないし(いい相手がいないのに無理して結婚する必要もないと思う)、早く結婚したとしてもすぐ子どもを授かるとは限らない。現に私がそうで、結婚したのは25歳の時だったが出産したのは41歳。凍結した卵子が不要になるのならそれで構わない。保険のため。(44歳・職業、居住地の記載なし)」

卵子凍結保存をするうえで不安に思うことも

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ただ、卵子を凍結しておけば大丈夫という安易なものではないということは考えておく必要がある。今回のアンケートで「卵子の凍結を希望するか」という質問に「いいえ」と回答した女性の多くは、凍結に対する技術や高齢で出産することへの不安を訴えていた。

「私は低収入層にあたるので、助成金制度があることはありがたいですが、まだ保険対象外の医療ですし、卵子凍結の技術自体まだ新しく、必ず受精する保証もないので(卵子凍結を希望するかという問いには)『いいえ』です。(中略)受精しないかもしれない、子どもが欲しい時に自分の体が悪くなっているかもしれない、卵子凍結した医療機関がなくなるかもしれない等の予測不可能なリスクを考えてまで『自分の遺伝子』を残す事が理解しにくいです。望んだ結果にならなかった場合は後悔してしまうのではないかと思います(31歳・その他・北海道)」

「採卵などの処置に怖いと思う気持ちがある(痛い、リスク)。そこに、まだ大丈夫ではないかという思いが重なり、行動には至らない。逆に言うと、簡単にできるのであれば、おカネがかかっても残しておきたい(28歳・非正規会社員・千葉県)」

「凍結卵子で妊娠できる確率は高齢で望んだ時、すごく低い為、無駄のような気がするし、妊娠できたとしてお産してからのことも考えると無謀だと考えるため(29歳・会社員・長崎県)」

卵子が若くても、着床する母体の年齢が高齢であればリスクがあるのは当然だ。20代の時の卵子があるほうがいいのは事実だが、成功率は100%ではないうえ、それが過信につながることは避けなくてはならない。

また、凍結したとして、それを保存し続ける費用は毎年かかる。浦安市の助成も最初3年間のみと決められている。使用する機会のないまま10年や15年が経ち、経済的負担になってしまうケースもあるかもしれない。

先月実施したアンケートでは、未受精卵子凍結、採卵や凍結技術に対する不安・心配の声も数多く寄せられていた。この連載を読んで内容はわかったけれど、採卵の痛みはどれくらいなのか、凍結した卵子を使うことによるリスクはないのかなど、まだまだ疑問の声は尽きない。

【著者プロフィール】
藤村 美里(ふじむら みさと)


TVディレクター、ライター。都立国分寺高校、早稲田大学卒業後、テレビ局入社。報道情報番組やドキュメンタリー番組でディレクターを務める。2008年に女児出産後、視点が180度変わり、児童虐待・保育問題・周産期医療・不妊医療などを母親の視点で取材。2013年に退社し、海外と東京を往復しながらフリーで仕事を続けている。

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