1. 【便利なのは通販だけじゃない!?】GUの「超ハイテク店舗」はこんなにスゴい

2017.09.24

【便利なのは通販だけじゃない!?】GUの「超ハイテク店舗」はこんなにスゴい

最近GUの店舗で買い物をして、驚いた方も多いかもしれない。なぜなら、今GUでは、世界的レベルで買い物のスタイルが進化しているのだ。そんな進化を遂げたGUの最新テクノロジーとは?

【便利なのは通販だけじゃない!?】GUの「超ハイテク店舗」はこんなにスゴい
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9月15日、アパレル大手・ファーストリテイリング傘下のGU(ジーユー)が横浜港北ノースポート・モール店をリニューアルオープンした。約820坪と同社史上最大の売り場面積を誇り、商品ラインナップも従来の倍。それだけでなく、来店客を驚かせる最新テクノロジーが満載の次世代型店舗に仕上がっている。

白を基調とした店内に入ると、タブレット型の端末が搭載された「オシャレナビ・カート」が目を引く。このカートを持って店内を回ると、ビーコン(発信機)から情報を受信し、近くにあるおすすめ商品が表示される。気になった商品を手に取り、端末にかざせば、色やサイズ別の在庫、コーディネート情報を確認できる優れものだ。

セルフレジで、精算にかかる時間は3分の1に

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商品を持って店内のオシャレナビ・ミラーの前に立てば、レビューを閲覧したり、コーディネート情報を見たりできる(撮影:梅谷秀司)

店内の鏡「オシャレナビ・ミラー」にも仕掛けがある。商品を持って前に立つと、その商品のおすすめコーディネート集や、実際に購入した人のレビューがデジタルサイネージに表示される。合計1000種類のスタイリングが表示可能で、自分に合ったスタイリングを見つけることができる。

セルフレジも10台設置。商品をカゴごとボックスに入れることで、一瞬ですべての商品を認識され、そのまま会計に進むことができる。以前から問題であったレジの列を解消し、精算にかかる時間は3分の1程度まで削減されたという。

数々のデジタル化によって、レジや接客にかかる人員の削減につながり、検品、在庫管理、棚卸しといった裏方の作業も大幅な効率化が進んだ。柚木治社長は新型店舗について「お客さんにショッピングを楽しんでもらいたい。今後はデータの収集も行い、商品開発に生かしていきたい」と話す。

ジーユー店舗のデジタル化を可能にしたのが「RFID」(Radio Frequency IDentifier)という技術だ。情報を埋め込んだICタグに、リーダー(読み取り機)から電波を発信することで情報をやり取りする技術である。

RFIDの特長は非接触で複数を同時に読み取れる点にある。セルフレジにおいては、買い物カゴを専用のボックスに入れ、扉を閉じることで、ボックス内部に電波が閉じ込められ、カゴの中の商品のICタグ全てを同時に読み込むことができる。

棚卸しの方法も変わった。これまでは、商品の入った箱を読み取り端末で1つひとつスキャンするため、かなりの労力がかかっていた。しかし、RFIDを導入したことで、棚すべてを一括してスキャンできるようになった。スキャンした情報と商品リストを照らし合わせるだけで、在庫の把握が可能だ。オシャレナビカートに表示される情報は、これらのデータベースが基になっている。

低コスト化で日本企業の採用が広がった

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セルフレジは買い物かごをボックスに入れ、扉を閉じて使う(撮影:梅谷秀司)

RFID自体は最新技術ではない。交通系ICカードなどもこの技術を活用したものだ。小売業では海外企業で導入が進んでおり、日本でも急速に拡大し始めている。

近年、RFIDの注目度が高まった要因は2つある。2011年、リーダーで使われる周波数帯が世界でも主流の周波数帯に移行したことから、海外製品も採用できるようになった。さらに、採用企業が増えたことで、一時100円以上していたタグの値段も10円以下に低下。商品単価が低い小売業界でも使われるようになってきた。

小売業の現場では100%の読み取り精度が求められる。「チップ」(情報を記憶する)関連企業は、どんな環境でも省電力で電波の送受信を行えるよう、出力を調節する機能を発展させている。

「インレット」(電波を受信するアンテナ)関連企業は、面積や形状が読み取りの場所や方向に適した形に個別に設計する。リーダー関連企業は、効率よく確実にアンテナに届く電波の飛ばし方を工夫している。

リーダーを手がける東芝テックでRFIDを担当する渡辺勝利部長は「一方向から読む場合には直線的に、複数の向きから読むときには円のような形で電波を飛ばすなど、さまざまな工夫をしている」と語る。RFIDの小さなタグの中には、各社の技術と知恵が結集されているのだ。

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ICタグには「ゴマ粒チップ」とも呼ばれる0.5ミリメートル四方の極小メモリチップが搭載されている。その周囲には電波を送受信するインレットと呼ばれるアンテナがあり、それらをシールにして一般的なタグの上に張り付けている。リーダーと呼ばれる機械から電波を送ると、インレットがその電波を受信し、チップに電気が流れる。するとチップが動作し、メモリ内の情報をリーダーに返信するという仕組みだ(取材を基に本誌作成)

ジーユーは世界的にも一歩リードした取り組み

今後さらに、RFIDの導入が進むことは間違いない。2017年4月には経済産業省がコンビニ各社とともに「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表し、2025年までにコンビニの全商品(推計年間1000億個)の電子タグ導入を進め、商品の個品管理を実現するとしている。

この取り組みでは、レジ・検品・棚卸業務の高速化や防犯ゲートを用いた万引きの防止、食品ロス削減など、さまざまな効果が期待される。メーカーや卸とも情報を共有し、配送面についても効率化が進みそうだ。

これまで、RFIDは海外を中心に拡大し、在庫管理のみ、販売店での利用のみといった例が多く、包括的な活用はあまりされてこなかった。NXP セミコンダクターズでマーケティングを統括するカート・ビショフ氏は「RFID市場において日本は遅れていた。しかし、ジーユーの例は世界的に見ても一歩リードしている」と語る。

商品を管理する役割だけでなく、ジーユーのようにサービスの拡大や進化につながる工夫が広がることで、今後の小売りの現場は大きく変わっていくだろう。

→ ファーストリテイリングの会社概要 は「四季報オンライン」で

【著者プロフィール】
藤原 宏成(ふじわら ひろなる)

東洋経済記者。エレクトロニクス業界を担当。

撮影/梅谷秀司

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