1. 【正しい知識があれば乾燥は防げる】化粧水さえ塗れば潤う?プチプラコスメでも効くの?【乾燥悩みさんへ】

2017.10.05

【正しい知識があれば乾燥は防げる】化粧水さえ塗れば潤う?プチプラコスメでも効くの?【乾燥悩みさんへ】

毎日何気なく続けているスキンケア。長年の習慣や考え方で「常識」と思っていることが、実は間違っているケースも……。今回は、識者の方々がケアの「常識」の真偽を判定。あなたの思い込みを正して、効率のいいケアを!

【正しい知識があれば乾燥は防げる】化粧水さえ塗れば潤う?プチプラコスメでも効くの?【乾燥悩みさんへ】
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by ヘルス&ビューティー・レビュー

お話を伺った方々

岡部美代治さん ビューティサイエンティスト
化粧品メーカーに勤務後、独立し、美容コンサルタントとして活動。著書『プロのためのスキンケアアドバイスの基本』(フレグランスジャーナル社)など。http://www.kt.rim.or.jp/~miyoharu

友利 新先生  皮膚科、内科医師
都内2ヵ所のクリニックに勤務する傍ら、医師としての立場から美容と健康に関する啓蒙活動を行う。著書『現役皮膚科医による正しいケア・対策がわかる スキンケア大事典』(マイコミブックス)など。http://ameblo.jp/arata1107/

原 英二郎さん  資生堂 スキンケア研究開発センター 主任研究員 スキンケア製品の研究開発に従事する研究者。今回は、豊富な皮膚科学、ケア製品に関する知識を生かして、わかりやすい解説をしてくれた。

1, 乳液はクリームを薄めたものである

【×】乳液とクリームでは使う油の性質も役割も違う
「クリームを水で薄めると乳液になるというのは、間違いです。まず乳液とクリームでは使う油の性質が違います。乳液に入っている油は、細胞間脂質を整列させ、バリアを作るもの。一方、クリームの油は肌を皮膜で覆い、美容成分の浸透を促すもの。また乳液は、肌本来の力を育むアイテムですが、クリームは、細胞にエネルギーを補給する、活力を与える、血行を促進するといった、より積極的な役割を担っています」(原さん)
「乳液は水分が多く、クリームは油分が多いのが一般的。さらにクリームには、乳液に比べ有効成分を溶け込ませやすいという特徴があります」(友利先生)

2, 化粧水は水分を補うためのアイテムである

【〇】ただし一時的に潤せても、長く維持するのはむずかしい
「化粧水をつければ、水分で一時的に潤すことはできます。とはいえ、それを維持することはむずかしいですね。もっともNMFやヒアルロン酸など、肌の潤い成分を増やしたり、補ったりする成分が入っていれば別です」(友利先生)
「化粧水には、肌を柔らかくする、キメを整える、後のケアの成分を入りやすくするといった働きが期待できますし、化粧水をつけると、水分を補うことも可能。けれども、その水分があるからといって、即『保湿できている』とはなりません。というのも、水性の化粧水に含まれる保湿成分と油性の乳液やクリームに含まれる保湿成分が合わさって、初めて肌は『保湿できている』といえるからです」(岡部さん)
「『化粧水=水、多くの潤いを与える』という考え方は間違いではありませんが、最近の化粧水はそれだけでは終わりません。角層の細胞は、CEというタンパク質の袋で囲まれていて、このCEが成熟し、状態がよいことが、バリア機能の要となります。そこで当社の化粧水には、CEの成熟をサポートする成分を配合。自身の力で潤える角層を育てます」(原さん)

3, 乳液の役目は肌にフタをすることである

【△】「フタ」以外に、肌の細胞間脂質を整える働きも
角層が潤いをキープするには、細胞間脂質が整列して、キレイに整っていることが大切。その整列を助け、肌本来の力を引き出すのが乳液です。『フタ』の役割のみを果たすわけではありません」(原さん)
「乳液は、水と油、保湿成分を角層にバランスよくなじませ、バリア機能を補うためのアイテムです。肌の表面というよりは、角層の内部に作用するものと考えたほうがよいでしょう」(岡部さん)

4, 界面活性剤は肌に悪い?

【×】化粧品には厳しい安全性基準をクリアした界面活性剤が使われている
「化粧品には、洗浄のほか、分散、乳化など様々な目的で界面活性剤が使われています。幅広い界面活性剤の中から安全性の高いものが選ばれていますから、きちんとした使用法を守れば、安全性はきわめて高いといえます」(岡部さん)
「界面活性剤にはいろいろな種類があって、洗浄用の肌に残さないものと、塗るケア用の肌に残すものでは、異なるものを使っています。洗浄系の界面活性剤に関しても、最近では汚れなど不必要なものを落とし、潤いなど必要なものを残すタイプが活用されています」(原さん)
「クレンジングに入っている界面活性剤によって、皮脂を取りすぎる恐れといった問題はありますが、界面活性剤は化粧品にとっては必要なもの。また、ナチュラルコスメであっても何らかの形で配合されているので、完全に排除するのはむずかしいでしょう」(友利先生)

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5, 高価格のケアほど効果が高い

【△】いい成分が入っている=手応えが高いとは言い切れない
「必ずしも価格が高ければ高いほど、手応えが高いとはいえません。当社でいえば、価格の高い化粧品には最新技術を投入し、効果感の高い成分を配合しているのは確か。しかし、価格の安い化粧品は、保湿なら保湿と1つの機能に特化し、ぜい肉をそぎ落としてシンプルに設計することで、価格を下げているという側面も」(原さん)
「高価格化粧品には、一般的に『いい成分』が使われていると思ってもいいでしょう。とはいえ化粧品は、処方も含めてトータルで効果を出すものなので、成分だけを見て、『手応えが高い』とは言い切れません。また高価格化粧品は技術美容成分、ストーリー、感触、香りなどすべての面で付加価値を高め、魅力を演出するもの。そこには、期待度、商品への理解度を高めるための広告料金も当然含まれています」(岡部さん)
「価格が高いかどうかではなく、あくまでも、自分の肌に合うかどうかで善し悪しを見極めることが大切です」(友利先生)

6, オイルクレンジングは肌に負担がかかる

【△】ディープタイプのクレンジングは負担になることも
「肌の負担になることはないですね。皮脂を取りすぎるという説もありますが、皮脂は一度取り去っても、しばらくすると元に戻ります。またクレンジングの後には化粧水や乳液をつけるのが普通なので、乾燥肌の人が使っても問題はありません。ただ、使用量が間違っていたり、肌が赤くなるほど長くクレンジングしていると負担になるケースも」(原さん)
油に加え、汚れを浮かしてはぎ取る界面活性剤が入っているディープタイプのクレンジングオイルは、場合によって角質を取りすぎて、負担になることもあり得ます。けれど、その他のオイルクレンジングは、健康な角質まで落とすわけではないので、負担になるとは考えにくいですね」(岡部さん)
「クレンジングオイルには、皮脂を取りやすい界面活性剤が多く入っているため、肌が乾燥しがちです。薄いメイクをしている人が毎日使うのは避けた方が無難。でも、しっかりメイクの人が、落ちが悪いミルククレンジングで3~4分も強く摩擦しているくらいなら、オイルで手早く落とす方がよいともいえます」(友利先生)

7, 日焼け止めのSPFは高いほどよい

【×】SPF30以上になると、紫外線防御力はあまり変わらない
「SPFはUVBの防御力を表す単位です。UVBは肌に赤く炎症を起こしますが、UVAは肌の老化に大きく関係していて、肌のためにはUVBだけではなく、UVAも防止しないと意味がない。つまり日焼け止めを選ぶときは、SPFだけではなく、UVA防御力を示す数値にも敏感になることが必要です。UVAの防御力を示す値にはPAがありますが、同じ『PA+++』の中でも効果には幅が。その差を見分けるのはむずかしいので、欧米で使われているPPDという値やUVAマークを参考にするのもいいでしょう」(友利先生)
「SPFは高ければ高い方がいいというのは迷信です。SPF30の日焼け止めは、紫外線の約97%をカットするものの、それ以降は数値が上がっていっても、紫外線防御率はあまり変わらないからです」(原さん)

撮影/国府泰(メイン画像) スタイリスト/郡山雅代 取材・文/入江信子
2011年4.5月号「HBR」より

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2010年3月~2012年12月に講談社から刊行された、美と健康を専門にした月刊会員誌。正式名称は「ヘルス&ビューティー・レビュー」。医師、研究者、医療専門家、美容家への地道な取材をもとに作られた、正確で濃い内容の誌面で評判になり、会員数約4000人以上を誇ったが、惜しまれながら休刊。