1. 冷え性・低体温の本当のところ Q&A【低体温の改善方法とは?】

2017.10.20

冷え性・低体温の本当のところ Q&A【低体温の改善方法とは?】

多くの女性が悩む、冷え性や低体温についての正しい知識を、専門家に教えてもらった。

冷え性・低体温の本当のところ Q&A【低体温の改善方法とは?】
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教えてくれたのは

帝京大学医学部外科 准教授 新見正則(にいみ・まさのり)先生

フォード大学医学部博士課程修了。専門は血管外科、移植免疫学、漢方医学など。2年前までは運動嫌いだったが、一念発起し、今年の佐渡国際トライアスロンでは236㎞を完走するなど、スポーツマンの一面も。『本当に明日から使える漢方薬』(新興医学出版社)、『西洋医がすすめる漢方』(新潮社)など、著書多数。

Q1 「体の冷えは万病のもと」と言いますが、どういったメカニズムで冷えが起きて、体にどんな影響を与えるのですか?
低体温になるとどんな症状が出てきますか?

A 低体温自体は、特別問題視する病気ではありません
「冷えには診断基準はありません。アナログ的な病気なので、本人が『冷える』と感じるのであれば"冷え"なのです。原因としては、主に3つのことが考えられます。ひとつは、熱の産生量が足りていないケース。家でイメージするならば、ストーブに十分な灯油が入っていない状態です。次に、循環がうまくできていないケース。せっかくストーブで空気を温めても、それを室内全体に回してあげなければ、場所によっては寒さを感じてしまいます。そして、最後に、産生した熱をしっかりキープできていないケース。窓を開けて、温めた空気をどんどん逃がしていては、いつまでたっても室温は上がりません。さらに、女性の場合は、ホルモンバランスの乱れで冷えることもあります。低体温だとしても、必ずしも、皆が冷えを感じたり、不調が表れるわけではありません。胃腸の働きの低下や不眠、イライラなど、冷えとともに不調を感じる人はいますが、その症状は人それぞれなので、決まった症状があるわけでもありません。冷えとともに不調を感じた時に、体を温めて改善された症状が、自分自身の冷えによる症状なのだと理解するといいでしょう」(新見正則先生)

Q2 低体温を改善するには、どうしたらいいですか?

A バランスの良い食事と適度な運動で、熱を作れる体に
冷えを感じる人に多いのが、朝ごはんを食べていない人や、ダイエットをしている人です。十分な食事ができていなければ、熱を作るために燃やす材料がないわけですから、体温を上げることができません。また、筋肉が働くことで熱エネルギーが生み出されたり、血流が促されるため、筋肉量が少ない人も冷えやすくなります。バランスの良い食生活を心がけ、普段から適度な運動を行うことが大切です。ウォーキングなどの有酸素運動を、30分を目安に、ジワッと汗が出てくるまで行うといいでしょう。一方、寒い時に血管がキュッと縮まるのは、体温を失わないための生理的な反応なので、血液循環の働きとしては正常なことです。その場合はちゃんと外から温めてあげればいいと思います。もちろん、冷えを感じるのであれば、熱を逃がさないようにすることは当たり前。露出の多い服装や薄着は避け、温かい服装を心がけましょう。体を中から冷やしてしまう冷たい食べ物もNGです。それでも冷えが気になるようなら、体温を上げてくれる漢方薬などを試してみるのもいいでしょう」(新見先生)

Q3 お腹がいつも冷たいです。自分では小さいころからそうなので当たり前なのですが、温めたほうがいいですか?

A 気持ちの問題も大きく影響しています
お腹のあたりが冷えるという人は、全身が冷えている傾向があります。気になるようであれば、Q2で述べたような対策を行うといいでしょう。でも、お風呂でしっかり温まっても冷えているというのは、通常はありえません。おそらく、実際に冷えているのではなく、冷えているように感じるだけではないでしょうか?最近は、自律神経の乱れによって感覚が鈍り、冷えを感じる人が増えています。そして、そのベースには何らかのストレスがあることも少なくないのです。その状態のままでは、いくら温めても満足することはありません。冷えを感じる部分をカイロや膝掛けなどで温めながら、同時に、夢中になれる趣味などを見つけてストレスを解消したり、何か集中できることで気を紛らわせることも大切です。ストレスが解消されるだけで、冷えが楽になったという方も多いですよ。また、冷暖房完備の環境に頼りすぎて自分の温める力が弱まっている可能性も。荒療治ですが、膝下に水をかけてみるのも、人によっては効果的です。水をかければ血管が縮まり熱を逃がしにくくなりますし、その後、血管が拡張することで血行が良くなるという効果があります」(新見先生)

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Q4 低体温は免疫力が弱い、がんになりやすいなど、良くないことを聞きます。私は通常35度台ですが、体温を上げるように努力したほうがいいのでしょうか?

A 低体温だからといって、免疫力が低下するわけではありません
「頭に怪我をした時の治療などで、強制的に30度くらいまで体温を下げることがあります。確かに、そのレベルまで下げれば、免疫力が低下して、感染症にかかりやすくなります。でも、35度台程度の普通に生活できるような低体温レベルであれば、免疫力が低下するとか、がんになるリスクが高まるなどということは、まず考えにくいでしょう。誰でも子供のころは体温が高く、成長して大人になるにつれて下がっていったはずです。でも、大人になったからといって風邪をひきやすくなったということはないですよね?ですから、低体温であることで不調を感じているのであれば、改善するほうがいいですが、体温が低いこと以外に何も問題がないのであれば、気にする必要はないのです。最近は『35度台だから冷え症だ』と、体温だけを見て気にされる方が増えています。が、適正体温には個人差があるわけですから、人と比べること自体ナンセンス。体温が気になるのであれば、自分が元気な時の体温を把握したうえで、それより1度くらい下がった時に、少し気にかけるといいのではないかと思います。他人と比べたり、数字だけで判断するのではなく、もっと自分の体に敏感になることが大切です」(新見先生)

Q5 女性は体を冷やさないほうがいいといわれますが、やはり女性は冷やすと体に良くないのでしょうか?

A 女性だから良くないということには、何の根拠もありません
一般的に、男性よりも筋肉量の少ない女性のほうが、冷えやすい傾向にはあります。が、女性は体を冷やさない方がいいといわれる理由に、特にエビデンスがあるわけではありません。不妊で悩んでいる女性の一部に関して、体を温める効果のある漢方薬を出した時に妊娠することがあるため、女性は温めたほうがいいといわれるようになってきたのかもしれません。ただし、個人によって表れる症状は異なるため、冷えている人がすべて妊娠しにくいというわけでもないのです。とはいえ、冷えを感じていて、かつ、不妊が気になっている人の場合は、少し体を温めることを意識してみるのもいいでしょう」(新見先生)

Q6 腰痛の時、病院によって、冷やされたり温められたりします。どちらがいいのですか?

A 気持ちいいと思う方法を行うのがおすすめです
「一応、急性期の腰痛は、炎症を起こしていて組織が熱を持っているため、それを鎮静させるために冷やし、慢性期の炎症が引いている状態の時には、温めたほうが楽だとされています。そのため、病院ではそのように対応していることが多いでしょう。ただ、それほど大きな差があるわけではないので、基本はどちらでもかまいません。むしろ体感が重要なので、自分が気持ちいいと感じられるほうを行いましょう」(新見先生)

Q7 以前は靴下なしでは寝られないほど寒がりだったのですが、筋トレをするようになってから、寝汗を異常にかくようになりました。何か問題があるのでしょうか?

A 寝ている時は、意外と汗をかいているものです
基本的には、汗は上がった体温を冷やすためにかくものなので、寝汗をかいているということは、それだけ熱を産生しているということ。筋肉は熱エネルギーの産生に関与しているので、筋トレをして筋肉量が増えてからなのであれば、ごく普通のことで、むしろ元気な証拠といえます。ただし、まれに、何らかの病気が原因で異常に寝汗をかくこともあります。もし、理由もなく大量に寝汗をかくとか、急激に量が増えたという場合は、一度病院で相談してみたほうがいいかもしれません」(新見先生)

撮影/久間昌史 取材・文/串田昌子
2012年11月号「HBR」より

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2010年3月~2012年12月に講談社から刊行された、美と健康を専門にした月刊会員誌。正式名称は「ヘルス&ビューティー・レビュー」。医師、研究者、医療専門家、美容家への地道な取材をもとに作られた、正確で濃い内容の誌面で評判になり、会員数約4000人以上を誇ったが、惜しまれながら休刊。