1. 【5大栄養素の役割とは?】栄養の基礎【タンパク質、糖質、脂質、脂肪酸について知ろう】

2017.11.09

【5大栄養素の役割とは?】栄養の基礎【タンパク質、糖質、脂質、脂肪酸について知ろう】

栄養バランス、栄養たっぷり……とは言うけれど、栄養素のこと、実はよく知らなかったりする。どんな食材にどんな栄養素が含まれているのか?それは体にどんな影響を与えるのか?まずは知っていると便利な医食同源の基本をご紹介しよう。

【5大栄養素の役割とは?】栄養の基礎【タンパク質、糖質、脂質、脂肪酸について知ろう】
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34種類の栄養素の役割、不調との関係、必要な摂取量、含まれる食品を学ぼう

同志社大学大学院生命医科学研究科教授で医学博士の市川寛先生は、入院中や自宅療養中、通院治療中の患者さんの病状・病態に対応した栄養指導や食生活の管理について、管理栄養士をめざす人向けに指導書を執筆した経験がある、栄養や食生活に造詣が深い医師。

「医食同源といいますが、医療現場では、食事の指導や管理がとても重視されるようになりました。病気の種類や病態にあわせ、医師、看護師、管理栄養士が、きめ細かい『栄養ケア』をすることで、いい結果が得られ、病後の患者さんが食生活を見直し、健康を維持できることに、貢献できていると思います。このノウハウを病気の予防やアンチエイジングにも、ぜひ役立てていただきたいですね」と話す市川先生のご意見を伺いながら、人体に欠かせない日本人の食事摂取基準(※)を34種類の栄養素についてまとめていく。

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各栄養素と体内でのおもな働き

いわゆる栄養素(3大栄養素、5大栄養素)

1. 炭水化物

糖質+難消化性繊維の総称。糖質には、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類(デンプン、食物繊維など)があります。穀類に多く含まれます。
体内でのおもな働き:エネルギー源

2. 脂質

脂肪、リン脂質、コレステロールの3タイプがあり、脂肪はグリセロールという物質に飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸がくっついたものです。
体内でのおもな働き:エネルギー源、体の組織をつくる

3. タンパク質

魚介、肉、卵、大豆などの主成分。個体によってアミノ酸の組成が違い、必須アミノ酸をバランスよく含んでいるものが「良質タンパク質」といわれる。
体内でのおもな働き:エネルギー源、体の組織をつくる

4. ビタミン

ビタミンは、水に溶けない脂溶性のビタミンと水溶性ビタミンに大別され、合計13種類が確認されています。
体内でのおもな働き:生理作用の調整

5. ミネラル

骨や歯の材料、生理作用の調整役に不可欠のカルシウムなど、元素記号で表される栄養素。乳製品、海藻、小魚、野菜などに多く含まれます。
体内でのおもな働き:体の組織をつくる、生理作用の調整

非栄養素食品因子(フィトケミカルとも呼ばれる)

6. その他の食品因子

食物繊維やポリフェノール、カロテノイドなど、栄養素と似た働きをする食品因子。抗酸化作用や免疫力アップなどが期待されています。
体内でのおもな働き:生理作用の調整

体内でのおもな働き
エネルギー源
:糖質とタンパク質は、それぞれ1g当たり4kcal、脂質は9kcalのエネルギーを生み出します。
体の組織をつくる:タンパク質は、体中の細胞やホルモン、酵素、遺伝子、免疫物質、カルシウムは骨や歯の材料に。
生理作用の調整:代謝・免疫・抗酸化作用の活性化や、生体システムを円滑にする働き。

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【タンパク質】

日本人の食事摂取基準(※)

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タンパク質を多く含む食品

マグロ、カツオ、イカ、そば

タンパク質とは?

筋肉、骨、臓器、皮膚、毛髪、血液、細胞など体の殆どの部分がタンパク質を主成分としてできている。それだけでなく酵素、ホルモン、免疫物質の原料にもなり、栄養素の運搬にも関与している。タンパク質はアミノ酸が結合したもので、20種類のアミノ酸の種類、数、配列順によって、性質の異なるタンパク質ができる。人体を形成するタンパク質の種類は約10万種類。

タンパク質と体のトラブル

タンパク質を過剰に摂取すると腎臓病のリスクを高める。カルシウムの排泄量が増え、骨粗鬆症にも関係する。逆にタンパク質の不足は、免疫力低下、成長障害などを引き起こす。

タンパク質の種類・性質・体内にある場所

タンパク質の種類

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20種類のアミノ酸

グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リジン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン

タンパク質を多く含む食品

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【糖質[炭水化物]】

日本人の食事摂取基準(※)

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糖質(炭水化物)を多く含む食品

そば、そうめん、中華麵、スパゲッティ、白米

糖質(炭水化物)とは?

糖質は体の大切なエネルギー源で1gで4kcalのエネルギーを産出する。炭素・水素・酸素でできた有機化合物で、食事から摂った糖質は消化・吸収を経てブドウ糖に分解されて血液を介して全身の細胞に運ばれる。脂質に比べて吸収が速い。

糖質(炭水化物)と体のトラブル

過剰なブドウ糖は脂肪として蓄積され肥満の原因になる。果物に含まれる果糖は過剰摂取すると肝臓に蓄積され脂肪肝を引き起こす。不足すると疲れやすくなったり、筋肉の減少、体脂肪の分解の際の老廃物であるケトン体が増える「ケトン血症」などになるリスクが高まる。

【脂質】

日本人の食事摂取基準(※)

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脂質を多く含む食品

牛ひき肉、アボカド、サバ、豚ひき肉、鶏ひき肉

脂質とは?

脂肪酸とアルコールが結合した高分子化合物で、1gで9kcalと糖質の2倍以上のエネルギーを産生する。脂質は細胞膜、核酸、神経組織をつくり、血液にも含まれる。また皮下脂肪として蓄積され、体のクッションや体温維持に役立つ。

脂質と体のトラブル

脂質を過剰に摂取すると肥満、脂質代謝異常症、糖尿病、動脈硬化などを起こしやすくする。逆に脂質が不足すると結果的に細胞膜が弱くなり、脳出血などのリスクが高まる。

いろいろな脂肪酸

脂肪酸は中性脂肪の構成成分で、炭素と水素が結合したもの。

【飽和脂肪酸】

日本人の食事摂取基準(※)

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飽和脂肪酸を多く含む食品

パーム油、ヤシ油、豚脂(ラード)、牛脂(ヘット)、バター

飽和脂肪酸とは?

炭素と水素が全てつながっている脂肪酸。パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸などがある。

飽和脂肪酸と体のトラブル

飽和脂肪酸は融点が高く、体内で固まってしまうので、血液中のコレステロールや中性脂肪を増やし、動脈硬化や脂質代謝異常症などのリスクを高める。

【n-6系脂肪酸】

日本人の食事摂取基準(※)

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n-6系脂肪酸を多く含む食品

リノール酸(紅花油、ヒマワリ油、綿実油、大豆油、コーン油、ごま油など)
γ‒リノレン酸(月見草油、母乳)、アラキドン酸(レバー、卵白、サザエ、伊勢エビ、アワビ)

n-6系脂肪酸とは?

炭素と水素が結びつかずに炭素同士が対になって二重結合しているのが不飽和脂肪酸。二重結合が1つしかないのが一価不飽和脂肪酸。二重結合が2個以上あって、6番目にあるのがn-6系、3番目にあるのがn-3系。

n-6系脂肪酸と体のトラブル

n-6系脂肪酸は血液中のコレステロールを低下させ、動脈硬化を予防する。過剰摂取するとアレルギー、動脈硬化、皮膚疾患、免疫力低下などが生じる。

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【n-3系脂肪酸】

日本人の食事摂取基準(※)

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n-3系脂肪酸を多く含む食品

α-リノレン酸(しそ油、エゴマ油、アマニ油など)、DHA(本マグロ脂身、ブリ、サバ、うなぎ、サンマ、サワラなど)、IPA(EPAと同じ。マイワシ、本マグロの脂身、サバ、ブリ、うなぎ、サンマなど)

一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)

脂肪酸は5、6が不飽和脂肪酸のうちの多価不飽和脂肪酸と呼ばれるもの。不飽和脂肪酸にはこの他に、一価不飽和脂肪酸があり、オリーブ油、菜種油(キャノーラ油)、種実、調合サラダ油などに多く含まれ、オレイン酸と呼ばれる。胃酸の分泌を調整したり、善玉(HDL)コレステロールを下げずにそうコレステロールを下げる働きがある。オリーブ油を良く使う地中海沿岸では、心疾患による死亡率が低いことから、地中海ダイエットと呼ばれて、健康長寿食の世界的スタンダードにもなっている。その中心になるのが、一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)の存在だとも言える。

n-3系脂肪酸と体のトラブル

α-リノレン酸はアレルギー疾患を予防したり、高血圧、心疾患を予防する。DHAは中性脂肪を低下し、脂質異常症、高血圧、脳卒中を予防。IPAは血栓ができるのを予防するほか、中性脂肪の低下、脳血管障害、高血圧、動脈硬化を予防。

【価不飽和脂肪酸[オレイン酸]】

必須脂肪酸ではないので適正量の規定はない。

価不飽和脂肪酸を含む食品

オリーブ油、菜種油(キャノーラ油)、種実、調合サラダ油などに多く含まれ、オレイン酸と呼ばれる。

価不飽和脂肪酸とは?

脂肪酸は5、6が不飽和脂肪酸のうちの多価不飽和脂肪酸と呼ばれるもの。不飽和脂肪酸にはこの他に、一価不飽和脂肪酸があり、必須脂肪酸ではないので適正量は決められていない。

価不飽和脂肪酸と体のトラブル

胃酸の分泌を調整したり、善玉(HDL)コレステロールを下げずにそうコレステロールを下げる働きがある。オリーブ油を良く使う地中海沿岸では、心疾患による死亡率が低いことから、地中海ダイエットと呼ばれて、健康長寿食の世界的スタンダードにもなっている。その中心になるのが、一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)の存在だとも言える。

【コレステロール】

日本人の食事摂取基準(※)

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コレステロールを多く含む食品

イカ、あん肝、鶏卵、うなぎ、レバー

コレステロールとは?

脂質の一種で、細胞膜をつくるときに重要な役割を担う。性ホルモンやビタミンDの前駆体となる。

コレステロールと体のトラブル

コレステロールが増えすぎると高コレステロール血症となり、血管を傷つけて、動脈硬化を引き起こす。不足すると細胞膜や血管が弱くなり、免疫力低下、脳出血、がんなどを起こすリスクが高まる。

(※)健康な個人、または集団を対象として、国民の健康の維持・増進・生活習慣の予防によって生じるエネルギー及び栄養素欠乏症の摂取量の基準を示すもの。栄養素の摂取不足によって生じるエネルギー及び栄養素欠乏症の予防に留まらず、過剰摂取による健康障害の予防、生活習慣の一次予防も目的とする。

教えてくれたのは

同志社大学生命医科学部 医生命システム学科教授 医学博士
市川寛先生

1984年京都府立医科大学卒業後、同大学附属病院第一内科研修医、’86年舞鶴赤十字病院内科医員、’88年京都府立医科大学附属病院第一内科修練医、’89年より国立舞鶴病院、松本病院、武田病院消化器内科医長。’94年より米国ルイジアナ州立大学メディカルセンター研究員、’97年六地蔵総合病院医員、医長、副院長などを経て、2001年より京都府立洛東病院内科第一副医長、’03年京都府立大学人間環境学部食保健学科准教授、’09年より現職。専門は消化器内科学。

撮影/久間昌史(メイン画像)、取材・文/宇山恵子
2010年7月号「HBR」より

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2010年3月~2012年12月に講談社から刊行された、美と健康を専門にした月刊会員誌。正式名称は「ヘルス&ビューティー・レビュー」。医師、研究者、医療専門家、美容家への地道な取材をもとに作られた、正確で濃い内容の誌面で評判になり、会員数約4000人以上を誇ったが、惜しまれながら休刊。

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