1. 【BOOK TALK】町田康さんが語る、動物についての本

2017.11.10

【BOOK TALK】町田康さんが語る、動物についての本

今をときめく旬の人の、お気に入り本をご紹介。今回は、作家、歌手、詩人、そして命を愛する人!…な町田康さん!

【BOOK TALK】町田康さんが語る、動物についての本
芦田 夏子
VOCE副編集長
by 芦田 夏子

教えてくれるのは

【作家、歌手、詩人そして命を愛する人】町田康さん
1962年、大阪府生まれ。1996年に発表した処女小説『くっすん大黒』でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞、2000 年『きれぎれ』で芥川賞ほか多数の受賞歴あり。エッセイにもファンが多く、ミュージシャンとしても活躍中。

町田康さんの近著はコレ!

『スピンクの笑顔』町田 康 ¥1600/講談社

スピンクと町田氏。おかしみと切なさと
『スピンクの笑顔』町田 康 ¥1600/講談社
掲載されたカラー写真も必見。スピンクを隣に無防備に寝っころがり、破顔する著者は、アラサー女子もハートを射抜かれる、驚異の55歳男児。

“生きとし生けるものは、みんな哀しい存在”

「長年一緒にいたから、大体どうしたいかっていうのはお互いわかりますね。意思の疎通ができるというか。僕が書いてるわけやけど、白々しさがないっていうか、自然にスピンクがしゃべっている感じに書けるんは、スピンクだからでした」

作家、町田康さんの愛犬・プードルのスピンクが語り部をつとめるスピンクシリーズ。明るくて陽気でクール……その日常は、犬仲間であるポチ(町田氏)の愚行をおかしみ、つっこむこと。スピンクをとおしてほとばしる町田節に、多くの人が夢中になった。一心同体だった“二匹”。そして、スピンクは今秋、旅立った。

「家の中が静かですね。明るくてものすごい陽気なヤツでしたから。スピンクの兄弟も、僕もみんな、日常にまだ慣れなくて立ち直ってないです。2階に住む猫たちは、まったく何事もなかったかのように暮らしています。彼らは、あんまりまわりの環境に左右されない。猫同士もお互い興味がないようですから」

洒脱で軽快でありつつ、命を預かることの重みを感じさせる町田さんの語り。おすすめの3冊は、(1)犬、(2)猫、(3)種族を特定できないある動物(!)が主要な登場人物。

“目の前の「命」をギュッと抱きしめる3冊”

『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』ジョン・グローガン著 古草秀子訳 ¥762/早川書房

人生で大切なのは、相手を信頼して向き合っていくこと
『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』ジョン・グローガン著 古草秀子訳 ¥762/早川書房
「犬を飼った人がぶち当たるだろうと思われる問題、すべてぶち当たっている話ですね(笑)。それがわりと面白く描かれている。表面上の価値観、特にアメリカ的な地位とか、もっと端的に見た目とか。そんなことより、大切なことを犬から教えられる話」

『猫 石牟礼道子詩文コレクション 1』石牟礼道子 ¥2200/藤原書店

哀しみの向こう側にある楽しみも描かれている
『猫 石牟礼道子詩文コレクション 1』石牟礼道子 ¥2200/藤原書店
「猫をとおして見えてくる、もう一つの世界。この世とは違う価値観、システムで運営されているけれど、現世と貼りつくようにして存在してる。人間の哀しみ、生類の哀しみ……命あるものは哀しい存在であることが、わりとユーモラスに描かれてます」

『ブラフマンの埋葬』小川洋子 ¥400/講談社

ある種いじわるなくらい人間を掘り下げて描く
『ブラフマンの埋葬』小川洋子 ¥400/講談社
「ブラフマンが何を考えているかはわからないんだけど、主人公がブラフマンをすごく可愛がっているのはよくわかるように書かれてます。結局、人間て、動物も可愛がるし、美しい花を見てキレイと思うし……でもいろんな気持ちがその中にあるよね、っていう」

圧倒的に動物たちから教わることの方が多い

「『マーリー』の舞台はアメリカで、とある新婚夫婦が子犬のラブラドールレトリバーを飼い、13歳で見送るまでを描いた話。亡くなって初めて、“あいつがいろんなことを教えてくれた”ってわかるんです。人間にとって何がいちばん大切か、とかね」

2冊目は、「私たちにとって猫は不思議な存在。でも、石牟礼道子さんは猫とか、虫とか、草とか……と、魂が行き来してらっしゃる方なんですよ。猫っていう不思議な動物が、石牟礼さんをとおして明らかになるアンソロジー。もう1冊は、小川洋子さんの『ブラフマンの埋葬』。主人公が森で、犬だか猫だかわからない、ひとかかえくらいの動物を拾って、ブラフマンと名付けて飼う話です。概念化した“愛”とひとくくりにできない感情が、動物をとおして浮き彫りに。ちょっと怖さもあるような小説で、ネタばれすると台無しなので先は言えないです(笑)」

動物をテーマにした作品を書いたり、読んだりする町田さん。「動物を飼うことをすすめたいわけじゃもちろんなく。でも、もし飼ってたらちょっと大切にしたろ、今日はええもん食わしたろ、みたいに思ってもらえたらいいなぁ」

取材・文/藤本容子

芦田 夏子
芦田 夏子
毛穴やニキビ、テカリが気になる典型的オイリー肌。根本的なスキンケアやインナーケアの重要さに今更気付き始めました。趣味は読書とお酒と整理収納。

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