1. 猫ヨガは「メンタル強化」も期待できる!【ヨガ×アニマルセラピーの相乗効果】

2018.01.01

猫ヨガは「メンタル強化」も期待できる!【ヨガ×アニマルセラピーの相乗効果】

ドッグヨガや猫ヨガなど、近年ヨガにもさまざまなバリエーションが生まれている。今回は、ヨガとアニマルセラピーの相乗効果があるという“猫ヨガ”について、フリーライターの圓岡志麻さんにお話しを伺った。

猫ヨガは「メンタル強化」も期待できる!【ヨガ×アニマルセラピーの相乗効果】
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衰えを見せない猫ブーム。そんななか、“健康・美容”ニーズと“猫”ニーズをドッキングさせたユニークな試みが行われている。それが、猫ヨガ教室。保護猫カフェや保護猫シェルターでヨガ教室を行うもので、保護猫について気づきを促したり、里親(引き取り手)とのマッチングにつながるというメリットがある。運営しているのは日本ドッグヨーガ普及協会・ネコ部。猫ヨガについては2014年から活動を開始したという。

「協会ではもともとは、犬と飼い主がいっしょにヨガをして、絆を深めようというドッグヨガの活動を13年前から行っていました。ヨガはサンスクリット語で“つなぐ”の意味です。宇宙や自然、動物など、さまざまなものとつながることを目的とします。ですから、人と猫でも、ヨガを通じてつながることが可能です」(日本ドッグヨーガ普及協会ネコ部のヨガ講師、池迫美香さん)

猫ヨガとはどのようなヨガなのか

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ヨガで気持ちよく体を動かしながら、猫とじっくり触れ合うことができる(筆者撮影)

池迫さんはプロのヨガインストラクターであり、猫ヨガ考案者の1人でもある。では、猫ヨガとはどんなヨガなのか? また普通のヨガとどう違うのだろうか。

「よく知られたヨガのポーズにも『猫の伸びのポーズ』がありますが、それと同じように、猫の仕草を真似たポーズが多くなっています。たとえば毛繕いのように片足を上げるポーズは、股関節の柔軟性を高め、コアの筋肉を鍛えます。婦人科系の悩みに効果的です」(池迫さん)

愛犬と触れ合ったり抱いたりしながらのポーズなど、犬とのスキンシップが多いドッグヨガに比べて、猫ヨガはより人間のヨガに近いそうだ。また猫たちが過ごす場所で行うヨガ教室は、ヨガをしながら、猫と自然に触れ合える。これが普通のヨガとの大きな違いだ。

「猫も反応してきます。四つん這いになっていたら間を通り抜けて行ったり、足の匂いを嗅いできたり。シャバアーサナ(大の字になってリラックスするポーズ)では、足の間に丸まります。とくに子猫の参加度は高いですよ」(池迫さん)

実際のヨガ教室の様子を見学させてもらった。この日の教室は、横浜市中区にある保護猫カフェ「ミーシス」で開催。午後6時半~7時の間に三々五々と参加者が集合した。参加者は10人程度で、女性のなかに男性が1人。池迫さんの指示に従い、それぞれ持参のヨガマットやバスタオルなどを広げる。

このカフェで猫ヨガ教室が開催されるのは初めてとあって、最初は部屋の隅や猫タワーの上で遠巻きにしていた猫たち。しかしすぐに、ヨガマットを引っ搔いてぐちゃぐちゃにしたり、参加者の体にもたれかかって座ったりと、わが物顔にふるまい始めた。

目的は猫と気持ちを通じ合わせること

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指を大きく広げるポーズは「肉球みてみて伸び」のポーズ(筆者撮影)

ある参加者は、猫にヨガマットを半分奪われたりして、体を動かしにくそうだ。しかし、このヨガ教室の目的は猫と気持ちを通じ合わせるところにあるので、構わないのだ。ヨガ中に猫の撮影をすることも許されている。

「猫の存在をそばに感じながら、猫になったつもりで体を動かします。他者の気持ちになるということはどういうことか、参加者の方各々に考えてもらうんです。またヨガでは必ず終わりのあいさつとして感謝を捧げますが、猫ヨガでは、猫をはじめとするすべての命に感謝して終わりのあいさつにします」(池迫さん)

70分のヨガタイムの後は、30分ほど猫との触れ合いタイムが設けられている。

現在、土日・平日夜間などで月間9回ほどの猫ヨガ教室を都内や近郊で開催。参加費は一律3900円で、その一部が保護猫への支援金となる。開催場所のスペースの広さによって参加できる人数が違うが、参加者は平均して10人程度。その傾向を聞くと、やはり女性率が圧倒的に高く、30~40代ぐらいの人が多い。猫を飼っている人とそうでない人の割合は半々ぐらいだそうだ。

今回猫ヨガ教室を開催したミーシスは、2009年から保護猫専門の猫カフェとしてオープンしたという。若い猫については、里親の募集も行っている。

「保護猫の存在を知ったり、支援活動を始めるきっかけにしてもらえるかなと思って、猫ヨガ教室を開催しました。オープン当初は『保護猫』『里親』といった言葉さえ知られていなくて、当店のコンセプトをお客様に理解してもらうのも難しい状況でした。当時の猫カフェといえば、血統書付きの猫を置いているのが普通でしたから、『雑種ばかり』などと言われたこともあります。でも、今はずいぶん、お客様の意識も変化してきたと感じます」(ミーシス店長の能勢亜弓さん)

池迫さんによれば、猫ヨガ教室をきっかけに猫と仲良くなり、保護猫の里親として名乗り出てくれた参加者もいる。また保護猫の存在を初めて知り、ボランティアを始めた人などもいるそうだ。

「猫と人間は姿が違うだけで、同じ命です。この活動を通して、命を大切に思う人が1人でも増えてほしい。また、今は世の中が殺伐としていますが、猫といっしょにヨガをすることで、ホッコリ、やさしい気持ちを取り戻してくれたらいいな、と思っています」(池迫さん)

協会の目標は

協会としての目標は、思いを同じくする仲間を増やし、“命に優しい社会”になるよう活動を広げていくこと。現在は協会代表のほか、事務局に1人、ネコ部に池迫さん、インストラクター養成講座をサポートしている2人など、計5人で運営しているほか、全国で約70人のドッグ・猫ヨガインストラクターが活動している。

池迫さんは猫ヨガのほうが忙しくなってしまい、本業も減らさざるをえなくなっている状況だそうだ。猫ヨガインストラクター養成講座の生徒も募集中だが、なかなか集まらないのが悩みだという。

「猫が好きな人は、犬好きな人に比べて謙虚なのでしょうか。人前でしゃべったりするのが苦手、という方が多いようなので、そのせいかもしれませんね」(池迫さん)

養成講座では約10カ月かけて、ヨガインストラクターとしての基本的な技術や知識を習得できるほか、猫の習性や生理学、動物のためのアーユルヴェーダといった、同協会ならではのカリキュラムが設定されている。受講料金は42万4000円で、一般的なヨガインストラクター養成講座の金額と同等だという。

現在、年間4万5000匹以上(2016年度、環境省調べ)の猫が殺処分されるなど、悲しい現実がある。ただ明るいニュースと言えるのが、さまざまな活動が少しずつ実を結んでおり、殺処分数が年々減少していることだ。たとえば民間団体などが野良猫の去勢・避妊、保護猫の引き取り手を探す活動などを行っている。また、「地域猫」という考え方も知られ始めている。地域ぐるみで野良猫を管理していく活動のことだ。こうした動きが途絶えることなく続き、また、裾野が広がっていくことが大切だ。

その意味でも、今回ご紹介した猫ヨガは、誰もが遊び感覚で気軽に挑戦できる点で優れている。ヨガには、健康や美容への効果のほか、感情をコントロールできるようになったり、集中力を高めたりと、現代のビジネスパーソンにも役立つ効果がある。

また、アニマルセラピーが全国の多くの施設などで行われていることでもわかるように、動物との触れ合いは心身を癒やしてくれる。となれば、ヨガ、アニマルセラピーが合わさった、猫ヨガには相乗効果があるかもしれない。人間関係に疲れたら、ぜひ、猫ヨガに挑戦してみるとよい。命を助けることにもささやかながら貢献できる。

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猫ヨガ講師の池迫美香さん。「動物殺処分を減らしたい」という思いから猫ヨガを始める。本業の傍らの猫ヨガは多忙だが、やりがいを感じているという。8月には著作『のび猫ストレッチ』を発行(筆者撮影)

【著者プロフィール】
圓岡 志麻(まるおか しま)

フリーライター。1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。

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