1. 顔色・皮膚を見れば病気が分かる【中医学の基礎】

2018.02.21

顔色・皮膚を見れば病気が分かる【中医学の基礎】

アンチエイジングは、体にウィークポイントをつくらないことが大切。そのためには自分自身の健康状態を、自分でチェックする方法を身につけたい。中国医学(以下、中医学)にある、顔色、皮膚などを点検する「望診(ぼうしん)」という診察法を活用し、鏡を見ればすぐに、今の自分の健康状態がわかる方法を紹介しよう。

顔色・皮膚を見れば病気が分かる【中医学の基礎】

人が人を診る医学の基本を忘れない

「中医学は人が人を診る医学。だからお母さんが子どもを診ることもできる。まさに家庭医学の基本です。だから自分で自分の健康を守り、維持するために、もっともっと中医学の知識を身につけてほしい。ビギナーにぴったりなのが『顔色』を診ること。ここから始めましょう」と話すのは、75歳とは思えない若々しさの猪越恭也先生。猪越先生ご自身も、中医学に基づいて自分の顔色をチェックし、ときどき漢方薬を飲み、おかげで「ここ30年ぐらい風邪を引いたこともない」という。

西洋医学では血液検査、血圧測定、レントゲン、CT検査、MRI検査など、診察は機械中心で、その数値や画像データから病気を見つけ出す。しかし境界線スレスレでクリアすると、未病状態を見逃してしまうことも多い。「原因不明の不調」で右往左往する人が多いのは、数値や画像などのデータとエビデンスに頼りすぎて、人が人を診るという基本的なことを軽視しているからかもしれない。

「患者さんを診るとき、中医学には四診という手法が用いられます。目で見て、耳と鼻で情報を集め、質問し、手で触れる……この4つの方法で、患者さんの情報をたくさん集めます。4つの中でも、有力なのは問診と望診ですが、まず、顔色を見ることから始まります」(猪越先生)。

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青、赤、黄、白、黒が示す健康状態とは?

顔色は中医学の基礎である「五行説」によって、「青」「赤」「黄」「白」「黒」の5つに分類される。それぞれの顔色が示す健康状態について、猪越先生に解説してもらおう。

◉ 顔色が青いとき

青→肝:肝臓、血流

【例】
顔色や白目が青っぽく見えたり、皮膚に静脈が青く目立ったり、こめかみや眉間に静脈が青筋を立てたように見える場合。

【健康状態】
肝に問題があることが多い。つまり、血液の貯蔵、新陳代謝、血液中の老廃物と栄養の交換がうまくいっていない状態が予想される。

◉ 顔色が赤いとき

赤→心:脳と心臓

【例】
お酒を飲んでいなくても、顔色が赤い場合。

【健康状態】
「心」に問題があることが多い。「心」は、中医学で、①大脳の働き、②心臓のポンプとしての役割の2つをさす。不安が強い、不眠、血圧が高い、その他心臓と血管のトラブルなどが予想される。

◉ 顔色が黄色いとき

黄→脾:消化器

【例】
カボチャやミカンを食べ過ぎてないのに、皮膚が黄色っぽい場合。

【健康状態】
「脾」に問題があることが多い。「脾」とは胃腸など消化器のことで、消化器系が弱く栄養不足、貧血ぎみ、月経不順、アザ(皮下出血)ができやすい、などがよく見られる。

◉ 顔色が白っぽいとき

白→肺:呼吸器

【例】
血色が悪く、赤味のない白っぽい顔色の場合。

【健康状態】
「肺」に問題があることが多い。「肺」とは呼吸器全般のこと。皮膚も呼吸器として考える。色白は美しいが、皮膚が弱く、カゼなどの感染に弱い状態であることも考えられる。

◉ 顔色が黒っぽいとき

黒→腎:泌尿器・生殖器

【例】
顔色が黒っぽく見えたり、目のまわりの黒ずみやクマが出た場合。

【健康状態】
「腎」に問題がある場合が多い。「腎」とは腎臓、ホルモン系、泌尿器科系、免疫系、水分代謝系などを含み、「腎」の衰弱は体に老廃物が溜まり、水分バランスが崩れた状態でもあることが考えられる。

注意:健康状態については、必ずしも検査数値に異状が出るわけではない。

中医学は2000年以上続いている。それが最大のエビデンス

「中医学が2000年以上もずっと大切に伝承されているのは、効果があり、人の命を助け、多くの人に理解されたから。それに大きく貢献したのが、中医学を分類し、みんなが理解しやすいように体系化したことでその一例は、『五臓の相生・相剋図』です。中医学は4つの家庭医学の必須条件、①わかりやすさ②自然のものだけを使う安全性③2000年の歳月が育んだ効果・効能を系統的かつ理論的に体系化されている、を満たす唯一の医学です」と説明する猪越先生。

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五臓の相生・相剋図(西洋医学との関係を含む)

教えてくれたのは・・・・・・

東西中医学院会長
明海大学歯科臨床研究所非常勤講師
猪越恭也(いこし・やすなり)先生

1935年生まれ。東京薬科大学薬学部卒業、薬剤師。明海大学歯科臨床研究所非常勤講師、中国・長春中医薬大学客員教授、NHK学園オープンスクール講師、日本中医薬研究会顧問などを務め、東西中医学院の通信教育や中医アロマセラピー講座にも力を入れる。「中国医学を日本人の常識に」をモットーに、中国医学の家庭への普及をめざす。著書に『顔をみれば病気がわかる』『皮膚の病気は内臓でなおす』(共に草思社)、『「隠れ病」は肌に出る!』(講談社+α 新書)など多数。

取材・文/宇山恵子
2010年4月号「HBR」より