1. 【毎日、鏡でチェック!】中国医学“五臓のセルフチェック”でアンチエイジング

2018.02.27

【毎日、鏡でチェック!】中国医学“五臓のセルフチェック”でアンチエイジング

アンチエイジングは、体にウィークポイントをつくらないことが大切。そのためには自分自身の健康状態を、自分でチェックする方法を身につけたい。中国医学(以下、中医学)にある、顔色、皮膚などを点検する「望診(ぼうしん)」という診察法を活用し、鏡を見ればすぐに、今の自分の健康状態がわかる方法を紹介しよう。

【毎日、鏡でチェック!】中国医学“五臓のセルフチェック”でアンチエイジング
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肝、心、脾、肺、腎の弱点を知る

五臓は人体の内臓系の働きを「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の5つに分類し、それぞれが助け合ったり(相生関係)、抑制し合ったり(相剋関係)していることをわかりやすく表現したもの。この関係をもとにして、現在でも漢方薬が処方され、治療が行われている。

「この分類のベースにあるのが、中国の『陰陽説』と『五行説』です。陰陽説は男女、明暗、寒熱など、この世には表裏の二面性が対立・調和しながら存在していることを示しています。そして、世の中の諸現象を5つに分類することによって、理解しやすく、扱いやすいものにしようという考えが五行説です。『五臓』も人体の複雑な機能を、わかりやすく5つに分類して、それをもとに治療を行ったものです」と猪越先生は説明する。

顔色や皮膚の状態をチェックすることで、五臓のどの部分にウィークポイントがあるかを見つけ出す方法を知るだけで、顔を見れば自分が行うべきアンチエイジングのポイントがわかるというわけだ。

美の敵は血行不良=瘀血。肌や髪のトラブルも

女性のアンチエイジングを考える場合、血液はもっとも重要な問題。血液の量が不足すれば、顔色も悪くなり、肌や髪のツヤやハリも失われる。また瘀血(おけつ)と呼ばれる血行不良が起こると、冷えや肩こり、頭痛、月経痛などが起こり、またホルモン異常などにも関係する

「人間は二足歩行をするようになったため、骨盤部分がビン底のように血流が滞りやすく、瘀血が起こって、女性の場合は子宮筋腫など、婦人病にも関係していると考えられます。それを予防するためにも、血行を良くして、新鮮な血液を作り出す力が衰えないように注意しましょう。漢方の生薬には、血を補う生薬もたくさんあります」と猪越先生は話す。

当帰(セリ科の植物の根)や芍薬(ボタン科の植物の根)、川芎(セリ科の植物の根茎)には、血を補い、血流を良くする働きがあるそうだ。

五臓のウィークポイントを、顔色など下記の項目でチェックして、こまめにケアすることで、大きな病気を防ぎ、老いのスピードを遅らせる……誰にでもできる方法だから、すっぴん状態で、ぜひ毎日、鏡に向かってチェックしよう。

五臓のセルフチェック!

「肝」のトラブルを見つける

□ 顔が青い
□ 額や眉間に青筋(静脈)が浮き出ている
□ 目のまわりにシミが多い
□ 涙が出やすい
□ 目が疲れやすい
□ 鼻の頭が赤い
□ 舌の色が暗赤色で裏側に静脈が浮出
□ 怒りや悲しみがこみ上げてくる
□ 白目が黄色か赤っぽい
□ 酸っぱいものが食べたくなる

「肝」のトラブル分析
肝臓に問題があり(肝機能検査値の異常とは限らない)、血液の浄化機能が低下して、静脈が浮き上がったり、イライラや目の充血、疲れ目などを起こしがち。

「肝」のトラブルにおすすめの食材
肝の働きを高めるには造血作用のあるニンジン、ホウレンソウ、パセリ、小松菜、ブロッコリーなどの緑黄色野菜を摂ること。シジミ、アサリ、レバー、ひじきなどもおすすめ。酢の物やレモン、梅干しなど酸っぱい食べ物も肝の働きを助ける。

「肝」のトラブルにおすすめの漢方処方
逍遥散、杞菊地黄丸、婦宝当帰膠など

「肝」のトラブルにおすすめの生活習慣
怒りや緊張は肝臓を傷つけるので、深呼吸でリラックスし睡眠時間は7〜8時間とる。

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「心」のトラブルを見つける

□ 顔色が赤い
□ 顔がほてる
□ 舌や唇の色がやや暗い
□ 汗をかきやすい
□ 動悸や息切れがする
□ 寝付きが悪い
□ 顔がむくむ
□ 足がむくむ
□ 記憶力や集中力が落ちた
□ 苦いものが好き

「心」のトラブル分析
「心」は脳と心臓を含み、人の“こころ”の働きと、血液を循環させて栄養を体の隅々に行き渡らせる働きがある。「心」にチェックが多い人は、睡眠や精神神経系、心臓や血管に問題が起こりやすい。

「心」のトラブル解消におすすめの食材
ニンジン、トマト、イチゴ、スイカ、小豆、シソ、イチジクなど赤い野菜。春菊、緑茶、ゴーヤ、魚の腸など、苦い食材。背の青い魚、ネギ類。

「心」トラブルにおすすめの漢方処方
冠元顆粒、婦宝当帰膠、炙甘草湯、牛黄清心丸など

「心」のトラブルにおすすめの生活習慣
よく歩いて血行を促す。ぬるめの風呂にゆっくり入ってリラックスしよう。

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「脾」のトラブルを見つける

□ 顔色が黄色っぽい
□ 食欲がなく、味が分かりにくい
□ 肌荒れしやすく、敏感肌
□ 顔のたるみ、毛穴の開きが目立つ
□ 口臭が気になる
□ アザ(皮下出血)ができやすい
□ 体がむくむ
□ 口内炎ができやすい
□ 胃下垂など内臓が下垂している
□ 甘いものが好き

「脾」のトラブル分析
「脾」にチェックが多い人は胃腸が弱く消化吸収機能に問題がある可能性が。胃腸の働きが鈍ると皮膚も弱く、栄養不足で毛細血管がもろくなっている場合もある。逆に胃の働きが過剰になり熱をもつと口内炎や口の乾きを感じ、食欲が増すことも。

「脾」のトラブルにおすすめの食材
カボチャ、サツマイモ、トウモロコシ、柿、ミカン、バナナなど甘みがあって黄色い食材が胃腸の働きを調整する。甘いものが欲しい場合は、ハチミツ、黒糖がおすすめ。とりすぎはNG。

「脾」のトラブルにおすすめの漢方処方
香砂六君子湯、人参湯、平胃散、開気丸、補中益気湯など

「脾」トラブルにおすすめの生活習慣
よく嚙んで食べることで胃腸の負担を軽くしよう。ひとくち30回嚙むことを目標に。

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「肺」のトラブルを見つける

□ 顔色や肌の色が白っぽい
□ よく咳が出る
□ 湿疹など肌トラブルが多い
□ 虫にさされたところが腫れやすい
□ 風邪をひきやすい
□ ニオイを感じにくい
□ 鼻が詰まりやすい
□ 口で呼吸していることが多い
□ 便秘になりやすい
□ 辛いものが好き

「肺」のトラブル分析
「肺」とは鼻、口から気管支の奥の肺胞までをさし、皮膚もわずかながら呼吸をしていることから、肺の一部と考える。肺は外敵の侵入を防御して体を守る役割をしており、その働きが衰えることで、風邪を引いたり咳が出たりする。

「肺」のトラブルにおすすめの食材
大根、キャベツ、玉ねぎ、ジャガイモ、白ゴマなどの白っぽい野菜や、リンゴ、ナシなどの果物、唐辛子やにんにく、ネギなどの辛い食材や香辛料は体の抵抗力をアップして風邪をひきにくくするので、「肺」にチェックの多い人向き。

「肺」のトラブルにおすすめの漢方処方
五屏風散、八仙丸、補中益気湯、麦門冬湯など

「肺」のトラブルにおすすめの生活習慣
早朝の空気がきれいなうちに早歩きや軽いジョギングなどで呼吸器を刺激したり、マッサージなどで全身の皮膚に適度に刺激を与えよう。

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「腎」のトラブルを見つける

□ 顔色が黒っぽい
□ 年齢不相応に白髪が多い
□ 髪が細く、脱毛も多い
□ 目の下にクマがある
□ 足腰がだるく尿が近い
□ 耳鳴りや中耳炎を起こしやすい
□ 舌が赤いか逆に白い
□ 虫歯が多く骨粗しょう症
□ 冷え性か逆にほてる
□ 塩辛いものが好き

「腎」のトラブル分析
中医学の「腎」は腎臓だけでなく、泌尿器や生殖器、ホルモン、水分調節、骨代謝などを支配するとされる。毛髪や歯のトラブルは『腎』のSOSサイン。

「腎」のトラブルにおすすめの食材
黒ゴマ、黒豆、わかめ、ひじきなどの黒っぽい食材、山芋、海草類などぬめりのある食材、ナマコ、イカ、タコ、牡蠣などの滋味たっぷりの海産物などがおすすめ。

「腎」のトラブルにおすすめの漢方処方
杞黄地黄丸、六味地黄丸、八味地黄丸、参茸補血丸など。

「腎」のトラブルにおすすめの生活習慣
体を冷やさないように衣服を調整し、運動や散歩などで体を動かし、汗をかくこと。

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教えてくれたのは・・・・・・

東西中医学院会長
明海大学歯科臨床研究所非常勤講師
猪越恭也(いこし・やすなり)先生

1935年生まれ。東京薬科大学薬学部卒業、薬剤師。明海大学歯科臨床研究所非常勤講師、中国・長春中医薬大学客員教授、NHK学園オープンスクール講師、日本中医薬研究会顧問などを務め、東西中医学院の通信教育や中医アロマセラピー講座にも力を入れる。「中国医学を日本人の常識に」をモットーに、中国医学の家庭への普及をめざす。著書に『顔をみれば病気がわかる』『皮膚の病気は内臓でなおす』(共に草思社)、『「隠れ病」は肌に出る!』(講談社+α 新書)など多数。

撮影/久間昌史(メイン画像)、取材・文/宇山恵子
2010年4月号「HBR」より

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2010年3月~2012年12月に講談社から刊行された、美と健康を専門にした月刊会員誌。正式名称は「ヘルス&ビューティー・レビュー」。医師、研究者、医療専門家、美容家への地道な取材をもとに作られた、正確で濃い内容の誌面で評判になり、会員数約4000人以上を誇ったが、惜しまれながら休刊。