1. 老けない&失敗しないダイエットの決め手【自律神経とダイエットとの関係】

2018.03.09

老けない&失敗しないダイエットの決め手【自律神経とダイエットとの関係】

ダイエットで失敗を繰り返すのは、老化の元凶。老けない、失敗しないダイエットは、無理をしないで、運動と食事に気を配ること。そして、自律神経、セロトニン、腸内環境、ホルモンを味方につけることだと医師たちは証言する。

老けない&失敗しないダイエットの決め手【自律神経とダイエットとの関係】

ポイントは自律神経、セロトニン、腸内環境、ホルモンにあった!

1年1㎏増を軽視して10年で10㎏増に!

「健康的なダイエットには運動と食事が大切」ということは、耳にたこができるほど聞き飽きた常識だ。しかし多くの人はそれを実行できない。

満腹なのに高カロリーなケーキを食べる、二日酔いになるほど酒を飲む、夜中にラーメンを食べる、何度入会してもスポーツクラブに通えない、ジョギングも三日坊主、ついタクシーに乗ってしまう……そんな甘えが、1年で1㎏のちょっとした体重増加を招き、それが10年続くと知らないうちに10㎏の体重増加、という事態へと悪化する。

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便秘治療のエキスパートは自律神経、セロトニン、腸内環境を重視

「運動と食事とともに、ダイエットの成功には、自律神経、セロトニン、腸内環境の3つのポイントを忘れないことが重要です」と話すのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生。小林先生は消化器疾患、とりわけ便秘に関して詳しく、外来は4年半待ちという人気ぶり。

ホルモン分泌も重要

「老けないダイエットを成功させるにはホルモン分泌の周期を考えることも大切」と話すのは、横浜市立大学医学部名誉教授で内分泌研究の第一人者である田中冨久子先生。田中先生は70歳になった現在も、微量ながら女性ホルモン補充療法を続け、20代に劣らない体重、骨密度などを保ち続けている。

思い通りにならない自律神経

自律神経はダイエットとどんな関係があるのか?

「自律神経はその名のとおり、意思と関係なく心臓や胃や肺などの働きを調節する神経のことです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、バランスをとりながら、呼吸、発汗、消化、排泄、体温調節、睡眠などをコントロールしています。自分の思い通りにならないのが自律神経だと思ってください」と説明する小林先生。たしかに頭で「食べ過ぎたから腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にしよう」とか「血流を活発にしよう」などと思ってもできないのが我々の体なのだ。

激しい運動より散歩やヨガで

交感神経と副交感神経の働きをまとめた下の図を見よう。一般的に「交感神経は闘争、副交感神経は休息」と思われているが、そう単純ではないのが自律神経なのだ。「ダイエットに失敗するのは、食べ過ぎて、便秘症の人が多いですね。その場合、副交感神経を優位にして、消化液の分泌を促進し、腸の活動を活発にすることが大切です。それなのに便秘解消を目的に、激しい運動をすると、交感神経が優位になって胃や腸の働きが悪くなってしまいます。食べ過ぎて便秘症の人は、筋トレや激しい運動よりも、食後の散歩(できれば早歩き)やヨガなど、体を興奮させ過ぎない運動が適しています」と小林先生はアドバイスする。

●自律神経の働き

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食後10分の早歩きでも効果大

田中先生も、「誰でも食事をすると血糖値が上昇しますが、インスリンが十分に分泌されれば安定します。食後2時間しても血糖値が140㎎/dlを上回る食後高血糖は、血管の老化を早めてしまい、心筋梗塞や脳梗塞などによる死亡率も高まります」と説明。

ご自身の食後高血糖予防法については、「食後はテレビを見ながらルームランナーで軽く汗をかく程度に10分間歩きます。私の場合、たった10分の早歩きで、200㎎/dl以上あった血糖値は140㎎/dl以下に下がりますよ」と、血糖値を測定した上で自分に合った最適な運動法を考案したそうだ。テレビを見ながらルームランナーで早歩きするのは、まさに体を適度にリラックスさせながら副交感神経を働かせる運動と言えるだろう。それによって、胃腸の消化活動が活発になり、血圧も安定し、筋肉も緩んで柔らかくなり、血行も促進され、血糖値も安定する。

ストレス→リラックス。体を使って自律神経を管理

ただし副交感神経ばかりが優位になりすぎると、私たちの体はバランスを保とうとして、一気に交感神経を緊張させてしまうこともある。

「自律神経はバランスが大切です。毎朝、満員電車に乗って通勤することだけでも大変なストレスですから、会社に着いたらコーヒーでも飲んでリラックスする……。自律神経は自分でコントロールできませんが、行動によって、自分の思う方向に、ある程度まで誘導することは可能なのです」と小林先生は言う。

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教えてくれたのは・・・・・・

順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授
小林弘幸先生


1960年生まれ。順天堂大学医学部卒業後、ロンドン大学附属英国王立病院外科、アイルランドトリニティ大学附属病院外科にてチーフレジデント、アイルランド国立小児病院にて研修。2003年より順天堂大学医学部 小児外科学助教授、順天堂大学附属順天堂医院 医療安全対策室室長を兼任。06年より現職。日本外科学会専門医、日本小児科学会指導医、日本体育協会公認スポーツドクター。

横浜市立大学名誉教授
田中クリニック横浜公園 院長


1964年横浜市立大学卒業後、'69年同大大学院医学研究科修了、'85年同教授。専門は、脳科学、神経内分泌学、生殖生理学で、「脳の性差」については第一人者。主著に『女の脳・男の脳』(NHKブックス)、『脳の進化学』(中公新書ラクレ)など。70歳になった今年、クリニックをオープンした。

取材・文/宇山恵子
2011年3月号「HBR」より