1. 【寝るオトナは痩せる】海外論文分析&医師に聞いた、失敗しないダイエットとは?

2018.03.14

【寝るオトナは痩せる】海外論文分析&医師に聞いた、失敗しないダイエットとは?

ダイエットで失敗を繰り返すのは、老化の元凶。老けない、失敗しないダイエットは、無理をしないで、運動と食事に気を配ること。そして、自律神経、セロトニン、腸内環境、ホルモンを味方につけることだと医師たちは証言する。

【寝るオトナは痩せる】海外論文分析&医師に聞いた、失敗しないダイエットとは?

甘いモノでセロトニン分泌が促進

「ストレスを感じたときに甘いものを食べたくなるのは、気持ちを安定させて幸福感や満足感が増す『セロトニン』という物質を脳内でたくさん分泌させようとするからです」と説明するのは、国立スポーツ科学センター医師で『女医が教えるマジカルエクササイズ』の著者、中村格子先生。

セロトニンは、赤身の肉に含まれる「トリプトファン」というアミノ酸を原料にして、脳内で作られる。ただし摂取したトリプトファンを脳に運ぶためにはブドウ糖が必要になる。肉や魚を食べた後、デザートにスイーツを食べることは、セロトニンの分泌を促進し、幸福感や満腹感を増す働きがある。しかし甘いものを食べてしまっては、カロリーオーバーや血糖値の急な上昇など、健康的なダイエットの邪魔になる。

運動、睡眠、リラックスでセロトニン分泌は上昇

「実は呼吸、歩行、日光浴、咀嚼、リズム運動、睡眠、リラックスした状態などでもセロトニンの分泌が促進されます」と説明する中村先生。オリンピックやさまざまな国際的な舞台で活躍するアスリートのトレーニングや健康管理も行う整形外科医の中村先生は、「アンチエイジングで健康的なダイエットには、セロトニンを味方に付けることが大切」と話す。

寝るオトナは痩せる

Image title

いろいろな海外論文を見ていると、ダイエットを成功させるために、もっとも重要なのは、睡眠かもしれないと思わされる。睡眠はセロトニンの分泌を促進するためにも重要で、セロトニンが分泌されると緊張や興奮が和らいで、いい眠りへと導かれる。

実は入眠時にセロトニンはメラトニンという物質に分解され、このメラトニンが深い眠りへと誘ってくれる。メラトニンは暗くなると分泌が盛んになり、明るくなるとセロトニンの分泌が増えて、心地よい朝の目覚めを迎えることができるのだ。

便秘も睡眠障害が関係?

「便秘を訴えて僕の外来を訪れる患者さんのほとんどが、睡眠不足、よく眠れないなどの睡眠障害を抱えています。睡眠は副交感神経を優位にして、胃腸の動きを活発にしますが、睡眠にトラブルを抱える人は緊張感が取れずに交感神経が働いて、胃腸の働きも悪くなり、これが便秘の一因になっていると考えられます」と小林先生は説明する。

さらに米国シカゴ大学の研究によると、平均5時間半の睡眠では、平均7時間半の睡眠に比べて脂肪燃焼効率が半減するという。睡眠不足ではせっかくのダイエットも効果が半減してしまうのだ。(Annalsof Internal Medicine 2010.10.5)

夜は暗闇でメラトニン、朝は日光でセロトニン分泌促進

またマウスの実験結果だが、テレビやパソコン画面程度の明かりを常時つけた環境で飼育されると、通常の環境で飼育された場合に比べて、食欲が亢進し、血糖値が上昇したままの状態が続き、体重も増加することが明らかになった。夜中にパソコンやテレビを見ていると生活のリズムが乱れて、夜食を食べてしまったり、睡眠不足になって、体重が増加した経験は誰にでもあること。だから注意しなければならない。(Proceedings of the National Academy ofScience 2010. 10 Online)

「セロトニンは朝の光を浴びると分泌が促進されます。私は毎朝、ウォーキングをしながら体を気持ちよく目覚めさせています」と話す中村先生。

運動は眠る2時間前までに。熱い風呂は厳禁!

ウォーキングやエアロバイクなどの有酸素運動が中高年の慢性睡眠障害を改善するという報告があった。(Sleep Medicine 2010.10)「激しすぎる運動を入眠前に行うと、脳も体も興奮状態で眠れません。運動は眠る2時間前までに終わらせましょう」とアドバイスする小林先生。

入浴もセロトニンの分泌を促進すると言われるが、「40℃のお湯ならば、副交感神経が優位になり、リラックスして血流も活発になりますが、43℃のお湯では、汗はかきますが、交感神経が優位になり、血圧が上昇して血管が収縮し、血液もドロドロになってしまいます。ダイエットに効果的な入浴法は、水分補給しながら40℃のお湯に浸かることです」と説明する小林先生。

脂肪が燃えやすい心拍数を知る

「ダイエットのために運動をするときは心拍数をコントロールすることも大切です。脂肪を効率よく燃焼させるには、(220-年齢)×0.6~0.7の間に心拍数をキープすること。心拍数計付きの腕時計などもあるので利用しましょう」と説明する中村先生。

●脂肪燃焼効率のいい心拍数

Image title

中村格子著『女医が教えるマジカルエクササイズ』より

コンビニなどでついうっかり食いに注意

ダイエット中に注意したいのはコンビニやファストフードとの付き合い方。米国の研究で、コンビニエンスストアやレストランなどの近くに住んでいる女性は、そうでない女性に比べてBMI値が高く、肥満になりやすいことが明らかになった。

また別の研究では、カロリー表示があっても、あまり注意して見ずに、自分が食べているもののカロリーを過小評価してしまう傾向があることが明らかになった(International Journal of Obesity 2011.2 Online)

食べたいなら無理やり歩く!

これに関して神戸大学名誉教授の市橋正光先生は、「ダイエットを成功させたいのならば、自宅近くのコンビニに行かずに、遠くのコンビニまで買い物に行ったり、遠くのレストラン巡りをするように心がけ、コンビニで買う食べ物やレストランでのメニューにも気を配るべき」とアドバイスする。

実際に市橋先生がコンビニエンスストアで買い物をするようすを取材した。写真は、ある日の昼食。大きめのサラダ2個とおにぎり2つを、カロリー表示を確認しながらじっくり厳選する。

Image title

市橋先生がコンビニで買う昼食はサラダの上に肉がトッピングなど、タンパク質摂取も忘れない。

肉+サラダ、和おにぎりでセロトニンを分泌

「まず、サラダの種類が豊富なコンビニに行きます。陳列されている数が少ないときは、店の人に頼んでバックヤードから持ってきてもらいます」。この日も、届いたばかりのサラダを店の人に頼んで出してもらった市橋先生。

サラダと言っても、野菜だけではダメ。バンバンジーサラダや豚しゃぶサラダなど、タンパク質が摂れるものを選びます。その代わり、おにぎりの具は、梅干しや鮭、たらこなどシンプルに。決してマヨネーズ入りや焼き肉入りのものは選びません」というこだわりが、20代から変わらない体型を維持している秘訣のようだ。

セロトニンの分泌を促進するためにも、セロトニンの原料となるトリプトファンを含む肉類、赤身の魚を摂るようにしたい。

牛乳をダイエットに取り入れる

「牛乳は動物性脂肪が多いことから、ダイエットの敵みたいに思われるようになりましたが、実はトリプトファンを多く含み、脂肪の吸収を阻害するカルシウムも豊富。さらに腸内環境を整えるのにも役立ちます」と小林先生。

カロリーや脂肪が気になるのならば低脂肪や無脂肪の牛乳を取り入れたい。

無脂肪乳に関しては、ウエイトトレーニング直後に無脂肪乳を500㏄飲んだグループは、砂糖入りのスポーツドリンクを飲んだグループに比べて、体脂肪がより減少したという報告がある。(Medicine&Science in Sports&Exercise 2010.6)

教えてくれたのは・・・・・・

国立スポーツ科学センター医学研究部研究員
中村格子先生

1966年生まれ。横浜市立大学医学部卒業後、同大学整形外科学教室入局、同大学大学院医学専攻科卒業。横浜市立大学付属病院、厚生連相模原協同病院、横須賀北部共済病院などに勤務した後、自治医科大学整形外科講座助教。日光市民病院整形外科科長、自治医科大学整形外科非常勤講師を兼任し、現在に至る。抜群のプロポーションと若さの持ち主。一流アスリートへの健康やコンディショニング指導に定評がある。

順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授
小林弘幸先生

1960年生まれ。順天堂大学医学部卒業後、ロンドン大学附属英国王立病院外科、アイルランドトリニティ大学附属病院外科にてチーフレジデント、アイルランド国立小児病院にて研修。2003年より順天堂大学医学部 小児外科学助教授、順天堂大学附属順天堂医院 医療安全対策室室長を兼任。06年より現職。日本外科学会専門医、日本小児科学会指導医、日本体育協会公認スポーツドクター。

神戸大学医学部名誉教授
同志社大学教授
再生未来クリニック院長
市橋正光先生

1939年生まれ。'70年神戸大学医学部研究科修了。'72年ロンドン大学皮膚科学研究所留学。'92年神戸大学医学部教授。2003年神戸大学名誉教授、'07年同志社大学教授。'10年4月より再生未来クリニック院長。紫外線による皮膚の老化、皮膚がん、肌の障害に関する研究で世界的評価を受ける。

撮影/久間昌史(メイン画像)、取材・文/宇山恵子
2011年3月号「HBR」より