1. 女性ホルモンを整えるとヤセる!? 失敗しないダイエットのためには

2018.03.21

女性ホルモンを整えるとヤセる!? 失敗しないダイエットのためには

ダイエットで失敗を繰り返すのは、老化の元凶。老けない、失敗しないダイエットは、無理をしないで、運動と食事に気を配ること。そして、自律神経、セロトニン、腸内環境、ホルモンを味方につけることだと医師たちは証言する。

女性ホルモンを整えるとヤセる!? 失敗しないダイエットのためには

汚い腸では痩せない!

悪玉菌がダイエットの邪魔をする

腸内細菌は約6.5mある私たちの腸の中に棲みつく微生物で、約100兆個もいると推定される。そのうちの一つである乳酸菌は腸内に侵入した異物やウイルスなどを排除する腸管免疫の働きをサポートしたり、大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌の増殖を抑え、腸内の腐敗やアンモニアなどの有害物質の発生を抑制する。「どんなに食事に気を使っても、腸の中が悪玉菌ばかりでは、栄養が吸収されず、排便リズムも乱れます。ダイエットを成功させるには、乳酸菌飲料、牛乳、ヨーグルトや、信頼性の高い乳酸菌サプリメントで、腸内環境を整えることが大切です」と小林先生は言う。

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乳酸菌のダイエット効果

最近では乳酸菌に、便秘改善効果、抗肥満効果、抗アレルギー効果、抗インフルエンザ効果など、多面的な健康効果があることが多数、報告されている。

一方で、便秘の改善や体重減少を目的として、腸内洗浄を頻繁に行う女性が多いことに警鐘を鳴らす小林先生は、腸内洗浄より大腸内視鏡検査を!「腸内洗浄を繰り返していると、大切な善玉菌まで腸から消えてしまいますし、感染症などを引き起こす原因になります。それよりも大腸内視鏡検査を1〜2年に1度受けたほうが、現代人に増えている大腸がんの早期発見にもなりますし、検査前に便をきれいに排出するので、腸の掃除にもなります」とアドバイスする。

女性ホルモンはダイエットの味方!

月経スタートから2週間がダイエット効果大

「ホルモンとうまく付き合うことも健康的なダイエットにとって欠かせません」と話す中村先生。特に女性の場合、月経周期が大きく関与する。

月経が始まってからの約2週間を卵胞期と呼びますが、卵胞期はエストロゲンの分泌が多くなり、脂質代謝なども活発になって、最もダイエットの効果が出やすい時期です。反対に月経前の約2週間は、排卵期と黄体期が続き、体がさまざまな不調を起こし月経前症候群(PMS)やメンタルな不調が顕著になる月経前不機嫌性障害(PMDD)などを訴える女性もいます。この時期は、黄体ホルモンという体に水分や栄養を取り込もうとするホルモンが多く分泌されるため、むくみや食欲が出て、ダイエットの効果が実感しにくいのです」と説明する中村先生。

月経のある女性の場合、月経スタートから2週間ダイエットを頑張り、月経前の2週間はダイエットのペースを落としてみるのがいいだろう。

●月経サイクル[28日周期の場合]

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中村格子著『女医が教えるマジカルエクササイズ』より

閉経後の体重管理をどうするか?

「エストロゲンは肥満や皮膚・骨の老化から女性の体を守るホルモンです。最近では血管の柔軟性を保ち、脂質代謝や糖代謝にもプラスの影響があることがわかっています。しかし女性は50.5歳で閉経を迎え、それ以降はエストロゲンの分泌がゼロに等しくなってしまうのです。この事実を知って、ダイエットや体重管理を行うことも大切です」と話す田中先生。実際にデータを見ても、50歳を過ぎた女性は、中性脂肪、体重などが急激に上昇する。

閉経ライフの30年計画を

更年期がスタートする45歳ぐらいになって、太りやすく痩せにくくなったり、ちょっとした体の不調を感じたり、いつもと違う月経の状態に気がついたら、一度婦人科を受診するといいでしょう。できればその際に、基礎体温計で1〜2ヵ月分の体温を測っておいてください。もちろん、基礎体温を測っていなくても、最終月経日や月経のようすなどを説明してもらうだけでも大丈夫です。血液検査で女性ホルモン値や甲状腺ホルモン値などを測り、自分のホルモン分泌の状態を把握して、必要があればホルモン補充などを行ってもいいでしょう。もちろんその際には、子宮がんと乳がんの検査を定期的に行う必要があります」と説明するのは田中先生。

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71歳になった田中先生は今年1月、横浜に更年期外来や生活習慣病外来を専門とするクリニックをオープンした。

「女性は閉経してから30年以上も寿命が残っています。その長い月日を健康に過ごすために、女性ホルモンとどう付き合うかについても、考えておく必要があります。そのサポートができればと考えて、クリニックをオープンしました。私自身も閉経前からホルモン補充を行い、今も続けています。運動、食事などに注意しながら若い頃と変わらない体型と骨密度(20代の平均と比べても93%!)をキープできているのは、女性ホルモンのお陰かもしれないと思っています」と話す。

男性ホルモン減少でメタボに!

「男性の場合も、男性ホルモンの分泌が減少することで、筋力が低下し、内臓脂肪がたまりやすくなり、抑うつや認知機能の低下などを起こすことがあります」と話すのは川崎医科大学教授の永井敦先生。

これは男性更年期障害、別名LOH症候群と呼ばれる症状で、加齢やストレスによって、精巣から分泌される遊離型テストステロンが減少することが大きな原因の一つと考えられ、男性ホルモンの補充療法などで治療を行うことができる。

「男性の場合、勃起をいつまでも維持できることが、まさにアンチエイジングであり、勃起障害が、血管の老化、テストステロンの低下、神経障害など、さまざまな体の不調や老化のサインになります。引き締まった筋肉質な体を維持するためにもテストステロンは重要な働きをしているのです」と永井先生は説明する。

教えてくれたのは・・・・・・
順天堂大学医学部病院管理学・総合診療科教授
小林弘幸先生

1960年生まれ。順天堂大学医学部卒業後、ロンドン大学附属英国王立病院外科、アイルランドトリニティ大学附属病院外科にてチーフレジデント、アイルランド国立小児病院にて研修。2003年より順天堂大学医学部 小児外科学助教授、順天堂大学附属順天堂医院 医療安全対策室室長を兼任。06年より現職。日本外科学会専門医、日本小児科学会指導医、日本体育協会公認スポーツドクター。

国立スポーツ科学センター医学研究部研究員
中村格子先生

1966年生まれ。横浜市立大学医学部卒業後、同大学整形外科学教室入局、同大学大学院医学専攻科卒業。横浜市立大学付属病院、厚生連相模原協同病院、横須賀北部共済病院などに勤務した後、自治医科大学整形外科講座助教。日光市民病院整形外科科長、自治医科大学整形外科非常勤講師を兼任し、現在に至る。抜群のプロポーションと若さの持ち主。一流アスリートへの健康やコンディショニング指導に定評がある。

横浜市立大学名誉教授
田中クリニック横浜公園 院長

1964年横浜市立大学卒業後、'69年同大大学院医学研究科修了、'85年同教授。専門は、脳科学、神経内分泌学、生殖生理学で、「脳の性差」については第一人者。主著に『女の脳・男の脳』(NHKブックス)、『脳の進化学』(中公新書ラクレ)など。70歳になった今年、クリニックをオープンした。

川崎医科大学泌尿器科学教授
永井敦先生

1982年岡山大学医学部卒業後、岡山大学医学部附属病院泌尿器科、津山中央病院泌尿器科、日本鋼管福山病院泌尿器科などを経て、'94年岡山大学医学部附属病院助手、2003年岡山大学医学部・歯学部附属病院泌尿器科講師、'06年川崎医科大学泌尿器科学教室教授に就任。加齢や疾患にともなう男性の性・排尿機能障害、男性更年期(LOH症候群)など、男性医学全般について詳しい。

取材・文/宇山恵子
2011年3月号「HBR」より