1. 「肥満」につながる「血糖値スパイク」って?

2018.04.23

「肥満」につながる「血糖値スパイク」って?

最近よく聞かれる「血糖値スパイク」という単語。血糖値が乱高下する症状を言いますが、これを繰り返していると日常のパフォーマンスが大きく下がるだけでなく、肥満にもつながります。でも現代人の食生活は、血糖値スパイクを引き起こすものがいっぱい。そこで糖尿病専門医である牧田善二先生に、「血糖値スパイク」が起こる仕組みと予防法について教えてもらいました。

「肥満」につながる「血糖値スパイク」って?

お話をお伺いしたのは……
牧田善二先生

AGE牧田クリニック院長。北海道大学医学部卒業。アメリカ・ロックフェラー大学などでAGE(終末糖化産物)の研究をおこなう。久留米大学医学部教授等を経て、糖尿病専門クリニックを開業。これまで20万人以上の患者を診てきた。著書に『老けたくないなら「AGE」を減らしなさい』、『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』など。

その不調、実は低血糖かも……

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健康な人の血糖値は、空腹時で約80〜90mg/dl。これが食事を摂ると、1時間後に120mg/dlくらいまで上昇し、再びゆっくりと下がっていきます。しかし一度に大量の糖質を摂ると、30分ぐらいの短い時間で血糖値が急上昇。すると膵臓はこれを下げようと慌てて大量のインスリンを分泌するため、今度は血糖値が急降下する。これを「血糖値スパイク」と言います。

「血糖値が急降下すると、当然、低血糖に陥ります。70ml/dlを切ると眠気や体のだるさ、イライラ、頭痛、吐き気といった症状が起きるようになり、さらに50ml/dlを切ると、ふるえや動悸、めまい、血圧上昇、脈や呼吸が早くなるといった症状も起きてきます。そして30ml/dlを切ると、意識がもうろうとしたり痙攣を起こしたりするだけでなく、最悪の場合は意識がなくなって昏倒することもあるのです。怖いのは、血糖値スパイクを繰り返していると膵臓が正常に働かなくなり、必要以上に血糖値を下げてしまうようになること。これを『反応性低血糖症』と言うのですが、代表的な症状には、やたら眠くなる、疲れやすい、やる気が起きない、集中力が続かない、不安、動悸、といったものがあります。これが低血糖からくるものとは気づかず、症状から精神科や心療内科に行き、うつ病や自律神経失調症と診断されている人は非常に多いのです」

もっとも怖いのは糖質たっぷりドリンク

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では血糖値スパイクを引き起こす要因は何かというと、当然のことながら、糖質の多い食事。小麦や白米といった糖質を多く含む食材をたらふく食べるのはもちろんNGですが、それ以上に避けたいのが清涼飲料水だそう。

「人の体というのは、消化と吸収を繰り返して上手に血糖値が上がりすぎないよう作られています。たとえば肉なら吸収されるまで3、4時間、脂肪なら5、6時間かかります。糖質の多い白米やパンでも2、3時間はかかるので、タンパク質や脂肪がメインの食事をしていれば血糖値スパイクを起こすことはありません。しかし糖分を溶かした液体になると、消化が必要なく短時間で体に吸収されてしまうため、血糖値の急上昇が起こります。とくに糖質たっぷりの缶コーヒーやジュース、スポーツドリンクなどは絶対にやめたほうがいいでしょう」

現代人は糖質中毒に陥りやすい!

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でも、脳のエネルギー源はブドウ糖だから糖分は必要、という話もよく聞きます。集中力ややる気を高めるには、糖分の摂取は効果的なのでは?

「それは食べ物を充分に摂取できなかった太古の話です。私たちの体は、ブドウ糖がなくなれば脂肪を燃焼させてケトン体を作り出しエネルギー源にしますから、糖質を摂らなくても1ヵ月ぐらいは生きられます。ところが困るのは、かつての食糧が少なかった時代に、『いざという時のためにチャンスがあれば糖質をとりなさい』と脳がプログラミングされてしまっていること。そのため糖質を摂取すると、脳はセロトニンやドーパミンを出して快楽を覚えるようにできており、食糧豊富な現代においてもついつい糖質を欲してしまうのです。つまり現代人は、普通にしていると糖質中毒に陥ってしまうということ。“締めのラーメン”などは、糖質中毒の最たる症状ですね」

参考までに下記に、簡単な「糖質中毒チェックテスト」を載せたので、是非チェックしてみてください。

1.朝食をしっかり食べたのに、昼食前に空腹を覚える。(はい・いいえ)
2.ジャンクフードや甘い物を食べ始めると止めるのが難しい。(はい・いいえ)
3.食後もときどき満足感を感じないことがある。(はい・いいえ)
4.食べ物を見たり、匂いをかいだら、食べたくなる。(はい・いいえ)
5.お腹が空いていないのに夜食べたくなることがある。(はい・いいえ)
6.どうしても夜食を食べたくなる。(はい・いいえ)
7.食べ過ぎたあと、何だかだるい感じがする。(はい・いいえ)
8.昼食後、何となく疲れや空腹感を感じる。(はい・いいえ)
9.おなかがいっぱいなのに食べ続けてしまうことがある。(はい・いいえ)
10.ダイエットして、リバウンドしたことがある。(はい・いいえ)

上記の10の質問のうち、「はい」が3〜4個あった人は「軽い糖質中毒」、5〜7個だった人は「中程度の中毒」、そして8個以上だった人は「ひどい中毒」に陥っているので、食生活の改善が必要です!

理想は縄文時代の食事

ちなみに上記のテストを行うと、肥満の人の75%が糖質中毒に陥っていたそう。では糖質中毒に陥らないための正しい食事とは、一体どのようなものなのでしょう?

「それは縄文時代のような食事です。現代日本人は縄文人のDNAを強く受け継いでいることが証明されていますが、そこから考えると、体も縄文人のように生きていくようプログラミングされているはず。つまり本当は、魚を中心に木の実や山菜、また貝類などをたくさん摂る食生活が良いのです。肉も、牛や豚より、当時食べられていた熊や鹿がお勧め。もちろん忙しい現代において、まったく同じ食生活を送るのは難しいでしょうが、少なくとも縄文時代になかったものは食べるべきではありません。縄文時代に砂糖はありませんでしたし、ましてやその砂糖を液体に溶かして一度に大量摂取するなんてあり得ない。長く健康で美しく生きるためにも、糖質の摂取は可能な限り減らすことを強くお勧めします」

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『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』
牧田善二著 ¥1500+税/ダイヤモンド社