1. 【コミュ力は鍛えられる】コミュニケーションを楽にするポイント5つ

2018.04.15

【コミュ力は鍛えられる】コミュニケーションを楽にするポイント5つ

「コミュ力は鍛えられるもの」と話すコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんに「誰とでも仲良くなれる」方法について教えていただきました。

【コミュ力は鍛えられる】コミュニケーションを楽にするポイント5つ

新年度を迎えた。出会いの季節である。入学、入社、新学年に新部署、新天地……。人生の転機に、たくさんの出会いが待っている。

とはいえ、知らない人と話すのはあまり得意でない、という方もいるだろうし、年齢を重ねるとなかなか新しい知人や友達を作りにくくなると実感している人も多いだろう。今回は、元「コミュ障」で悩んでいた筆者が30年近い“コミュニケーション修業”の末にたどり着いた「誰とでも仲良くなれる」方法をご紹介したい。

周囲の友人などにはなかなか信じてもらえないが、筆者は本質的には恥ずかしがり屋で、特に学生時代は自分の容姿に異常なほどコンプレックスを持ち、とにかく自信がなかった。

コミュニケーションの「科学」を学んでから変わった

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仕事では、課せられた役割に「憑依」することで、自信ありげに見せてきたが、「素の自分」はシャイなまま。ブサイクだから、「誰も私とは話したくないのではないか」という自意識にさいなまれてきた。だから、よく「怖い人に見える」と言われた。一度仲良くなると、打ち解けるのだが、心を開き、相手に飛び込んでいくことにためらいがあり、自分の中に壁を作っていた。

大きな転機となったのは、渡米して、コミュニケーションの「科学」を学んだことだ。アメリカには心理学や脳科学、人類学などのアカデミックな研究に基づいて編み出されたコミュニケーションの「方程式」が山とある。アクティングスクールやボイストレーニングに通い、大学教授やコミュニケーションのカリスマに弟子入りして学んだスキルをがむしゃらに試していくうちに、自分を覆っていた「膜」のようなものが、一枚一枚、はぎ落とされていくのを感じた。

近著『世界一孤独な日本のオジサン』の中でも触れたが、日本人は世界一、コミュニケーションを苦手とする人たちかもしれない。同質性の高い社会ゆえに、伝える努力がそれほど必要とされていなかったし、欧米のようにきっちりと系統立てて学ぶ機会もない。都市化や核家族化、非婚化、高齢化が進み、「コミュニティ」なき無縁社会が到来しているが、つながりを作るための「コミュニケーション」力が欠落する中で、心身の健康をむしばむ「孤独」が深刻化している。

コミュ力は決して生まれつきの才能ではない。筆者が身をもって学んだのは、ちょっとした気づきで、コミュニケーションは信じられないほど楽になり、高く積み上げていた他人との間の垣根をぐんと低くできるということだ。

前置きが長くなってしまったが、以下が筆者の「コミュニケーションをグンと楽にする『気づき』」である。

コミュニケーションを楽にする5つのポイント

<1>先入観を持たない

見知らぬ人に会うと、つねに人間は無意識にその人の「品定め」をしてしまう生き物である。生存のために、相手が敵か味方かを見極めるのは本能的行動だ。しかし、「自分に危害を及ぼすかどうか」という判断力は重要だが、それ以外については、自分勝手な定規で相手を判定することをまずはやめてみることをお勧めする

「この人は意地悪そうだ」「この人は私のことが嫌いそうだ」などと、ついつい自分なりの解釈で話す前から、人に色を塗っている。相手とのコミュニケーションの障壁になりそうな、あらゆる先入観を捨てることで、「真っ白なキャンバス」が現れる。話しながら、ゆっくりと、少しずつ、相手像を描いていけばいい。まずは「まっさら」な状態から始めよう。

<2>相手が話したがっていると思い込む

筆者が早稲田大学に入学したての頃、キャンバスでは、サークル勧誘の呼び込みが一斉に行われていた。男性のほうが多い大学で、当時、私の学部では男性の数は女性の10倍以上。当然、ブチャイクな自分でも「少しはモテるのではないか」と甘い期待を抱いていたわけだが、フタを開けてみたら、近隣の女子大生がわんさかいて、結局、だ~れも声などかけてくれなかった。

こんな感じで、つねに「私なんかとは誰も話したくないだろう」というトラウマのようなものを抱えて生きてきたが、アメリカで、超人的なネットワークを持つ「カリスマインフルエンサー」に教わったのは、「どんな相手も自分と話したがっていると思い込め」ということだった。

「誰もが話しかけてもらいたがっている」と妄信的に信じ、「話すことを怖れるな」というのだ。もちろん、あからさまに嫌がる人もいるかもしれないが、10人中10人がそういう人ではないはずだ。確かにそのとおりやってみると、話しかけることも苦痛でなくなるし、迷惑そうな人も多少はいるが、驚くほど、会話が弾むこともある。「信じる者は救われる」のである。

<3>相手に興味を持つ

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アメリカ滞在中、筆者が恥ずかしがり屋を克服したいと、門をたたいたのはその名も「Shyness Research Institute」(恥ずかしがり研究所)だった。これはインディアナ大学サウスイースト校に設置されたれっきとした研究機関だ。ここの教授に教えられたのは、「自分がどう見られるのか」という意識を捨てて、「相手に対し、徹底的に興味を持つこと」。

「相手にどう思われているのか」という自分中心視点ではなく、「どういう人なんだろう」「何に関心があるのだろう」などと興味の中心を相手に移すことで、過剰だった自意識が薄れていくというのだ。つまり、自分に当たっていたスポットライトを会話の相手に向ける、これだけのことだが、このメソッドも劇的な効果を発揮した。

「相手に自分はどう見えているのかな」「退屈だと思われているんじゃないかな」といったように、自分に対する相手の評価を心配することから解放された。相手に焦点を合わせる中で、詮索ととられることなく、上手に会話の流れを作るために重要なのは、「質問力」だが、これについては、今回はとても書ききれないので、折を見て、掘り下げてみたい。

<4>目は口ほどにものを言う

エグゼクティブ向けのプレゼンテーションやスピーチのコーチングを本業としており、企業トップや政治家などのコミュニケーションを日常的にウォッチしている筆者だが、常々、「ここを変えれば、プレゼンが劇的にうまく見えるのに」と思っているポイントがある。

それが、アイコンタクトだ。日本人はよく頭を下げるので、出会いのタイミングで目を合わせないこともよくあるが、アイコンタクトは、人の印象を大きく左右する要素だ。アイコンタクトをした人はそうでない人に比べて記憶に残りやすい、目の合った人の言葉は信じやすい、などさまざまな科学的実験により、その心理学的効果は実証されている

見つめすぎ、凝視などはNGだが、「相手への自分の関心」を示すサインとして、上手に視線を交わすことで、距離感をぐっと縮めることができる。やり方としては、相手を認識した時点で、一瞬、ロックオンして、アイコンタクトを交わす。人と目を合わせるのはどうしても苦手という方は眉間に焦点を合わせてみよう。アイコンタクトは会話の大切な第一歩なのだ。

<5>本音は〇〇〇に表れる

アイコンタクトやジェスチャーなど、ノンバーバル(非言語)の要素のほうが、バーバル(言語)よりもはるかに雄弁に、気持ちが伝わりやすい。

目、口、手、肩、足、身体のすべての部分が、知らないうちに相手に対して、つねに何らかのメッセージを発信している。だから、アメリカではノンバーバルのコミュニケーション研究が非常に盛んだ。専門家がテレビに登場しては、政治家や芸能人のしぐさや表情を読み取り、その心証を分析している。たとえば、佐川氏の証人喚問などは、アメリカであれば、専門家が表情や体の動き、姿勢などすべてをチェックし、コメントしていたことだろう。

中にはそういった手法で「ウソが見破れる」と豪語する人もいるが、実際のところはそれほど容易なものではない。ただ、マイクロエクスプレッションといわれるちょっとした表情の変化を読み取ることに長けたポーカーのチャンピオンだった人が、ボディランゲージの専門家になっていたりして、なかなか面白い業界なのである。

「つま先を見ろ」

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そんな専門家に弟子入りして、学んだ1つのスキルで印象に残ったのは、「つま先を見ろ」ということ。相手に興味があるような表情をしていても、足先が相手に向けられておらず、出口のほうに向いていたら、本音では「早く帰りたい」と思っているということだというのだ。

つまり、相手に興味を持ち、つながろうとするのであれば、頭の先からつま先までをきっちり相手に向けて対話をしろ、ということである。

いかがだろうか。「コミュニケーション道」は本当に奥が深い。そして、運動と同じで、練習をすれば、その力は必ずついてくる。「筋肉はうそをつかない」。マッチョ道を突き進む筆者のいとこがよく口にする言葉だが、「コミュ筋」も、あなたを裏切ることはない。コミュ力はまさに、「鍛えられる」もの。新年度というこの機会に、コミュ力のマッスルトレーニングを始めてみることをお勧めしたい。

【著者プロフィール】
岡本 純子(おかもと じゅんこ)

コミュニケーション・ストラテジスト。読売新聞経済部記者、電通パブリックリレーションズコンサルタントを経て、株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部政治学科卒、英ケンブリッジ大学院国際関係学修士、元・米MIT(マサチューセッツ工科大学)比較メディア学客員研究員。企業やビジネスプロフェッショナルの「コミュ力」強化を支援するスペシャリスト。グローバルの最先端ノウハウやスキルを基にしたリーダーシップ人材育成・研修、企業PRのコンサルティングを手がける。

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