1. 「物価上昇対策」に効果的な3つの買い物術

2018.05.19

「物価上昇対策」に効果的な3つの買い物術

生活用品など身近なところで物価の上昇を感じ始めたら、何をすべきか!?  まずは、生活コストがマイナスになってしまうことのないよう、物価上昇を乗り切る買い物術について、フィナンシャル・ウィズダム代表の山崎俊輔さんに教えていただきました。

「物価上昇対策」に効果的な3つの買い物術

納豆やティッシュなど、値上げが相次いだこの春。今回は「物価上昇対策」を考えてみたいと思います。物価上昇と聞いて、ピンとこない人も多いでしょう。なぜなら、バブル崩壊から20年ほどデフレが続き、また技術革新や企業努力により、モノの値段が下がる時代が長かったためです。

ユニクロを中心としたアパレル製品や、液晶テレビを中心とした家電製品がいい例です。かつて「1インチ1万円(以上)」であった液晶テレビですが、今では30インチの液晶テレビが3万円以下で買えます。

始まったじわり値上げ時代

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こうした状況を受け2013年以降、安倍政権は大規模な金融緩和を実施し、デフレ脱却を目指しました。物価変動の指標となる「消費者物価指数」は近年思うように上昇してはいないものの、最近では少しずつ値上げのニュースが増えています。

2017年6月には郵便料金が値上げがされ、通常ハガキは52円から62円になりました。郵便料金の値上げは消費増税時の増税分の転嫁を除き、22年ぶりだったため、大きなインパクトがありました。

また、2017年秋から今年の3月まで、物流各社が宅配料金の値上げに踏み切ったことも記憶に新しいところです。これに関連してネットショッピングの「○○円購入で配送料無料」の条件が少しかさ上げされているショップもあります。

そして2018年4月には納豆の値上げや居酒屋などのビール卸値の値上げがニュースになりました。チーズの値上げが決定されたという報道もあります。牛丼チェーン店といえば値下げのイメージが強いと思いますが、今は値上げが相次いでいます。

また、これと同じくらい注意したいのは「実質値上げ」です。「お値段据え置き、容量控えめ」のようなやり方で行われる実質値上げの方法が相次いでいるからです。

お菓子、冷凍食品、洗剤等の日用品などは「この商品はXXX円」というような価格の印象が強いため、値上げするとガクンと売り上げが下がるリスクがあります。そこで、内容量を減らすことで実質値上げを行っているのです。

これをシュリンクフレーションと呼ぶ人もいますが、実は相当の「実質値上げ」が行われています。たとえば板チョコの値段を「今も昔も100円くらいでしょう?」と思っていると、実は内容量は25%も減っているというような事態が起きているのです。

「値上げ」に踏み切る商品、「実質値上げ」をひっそり行う商品が混在するときは、モノの値段が上がっている実感がなかなか持てません。またA社が値上げ後、時間差でライバルB社も値上げというように時期がずれることもあって、これまた値上げのインパクトを感じにくくなっています。

ベア獲得でも実質「賃下げ」の可能性

今年の春は賃上げが行われたとずいぶんニュースになりました。連合のプレスリリースによれば、賃上げ額は平均して6128円、率は同2.1%に至ったようです。しかし従業員がすべて対象となる賃上げがあったとしても、注意が必要です。場合によっては「実質賃下げ」であったかもしれません。

モノの値段が2%上がった場合、生活コストは2%上昇します。つまり賃上げ2%あって初めて「プラスマイナスゼロ」となるわけです。

今年の物価がどれくらい上がるかは未知数です。もしかするとあまり変わらずに下半期は推移するかもしれません。しかし、「上がり始め」の時期は賃上げは物価上昇とほとんど相殺だと思うくらいが、個人レベルの家計の防衛戦略だと思います。

賃上げだからと喜んで消費を増やしていたら、実質的な物価上昇をカバーし切れないどころか、赤字家計に転落するおそれがある、と思うくらいがいいわけです。

物価の「上がり始め」には、「数%の賃上げ」と「数%の物価上昇」とのせめぎ合いになります。経済学の教科書は「物価上昇率<賃金上昇率」を想定していることが多いのですが、物価上昇をカバーできるだけの賃金上昇がなければいけないのです。

たとえば月給が30万円の人であれば、3000円の賃上げとなると大喜びかもしれませんが、実質的には1%増にしか相当しません。自分の会社の賃上げ状況を一度確認してみてほしいと思います。

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さて、賃上げと違うところで家計ができる対策もあります。それは「数%レベルの家計防衛」を考えることです。

賃上げがなかった(来年に期待)、あるいは賃上げが小規模にとどまった、というようなときにも、物価上昇に負けない程度の節約が必須ですし、今年は幸い賃上げが2%以上あった場合も、将来の物価上昇に備えて節約のトレーニングをしておきたいところです。

今回は3つの対策をもって、「数%の値上げを乗り切る」方法を考えてみます。具体的には3つの方法があります。

対策1)数%の最安値を取りこぼさない
対策2)数%のポイント還元を取り逃さない
対策3)数%相当の「ロス」を減らす

それではひとつずつチェックしてみましょう。

(対策1)底値チェックで「最安値」を取り逃さない

まず最初の課題は「値段の把握」です。これは物価上昇を認識するためにも必要ですし、最安値をきちんと押さえて買い物をしていくためにも必要です。

車のガソリン代については最安値チェックサイトやアプリがいくつかあるので、「地域最安値」のようなガソリンスタンドを探すことが容易です。しかし、近隣の2~3カ所のスーパーや、ドラッグストアを比較していくのは自分なりのチェックが必要です。

スマホアプリでは「ソコネオ」というアプリが底値メモ帳の機能に特化していて便利です。ほかにもいくつかそうしたアプリがありますので、インストールしてみるといいでしょう。単純に「メモ帳」アプリに数字を記帳するだけでも十分役立ちます。

主要な商品について記録してみると、スーパーの「今月のお得」、ドラッグストアの「今月のお買い得」のようなプライスタグが案外あいまいなものだと気づきます。ライバルのドラッグストアも、5~6点の価格比較をしてみるとお互いに最安値を分担し合っていたりします。ひどいときには「今月のお買い得」価格がライバル店の通常価格より高いこともあります。

洗濯洗剤、シャンプー、ティッシュペーパーやお菓子など、まめに調べていくと、補充のたびに数十円の「より安いお店」を選択できるようになりますが、300~500円レベルの買い物の積み重ねの中でその「数十円」が家計を数%コンパクトにしてくれるのです。

(対策2)あらゆるポイントをとり逃さない

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次のテーマは「ポイントを取り逃さない」ということです。同じ買い物でも、「ポイント0%」と「ポイント6.5%獲得」では買い物の実質的な値段は大違いです。しかしこだわって高いポイント還元を得ているでしょうか。

大きく分けるとポイントは「クレジットカードの利用(0.5%~)」「電子マネーの利用(0.5~1.0%)」「お店限定のポイントカードの利用(0.5~10%)」「駅ビルなどが発行しているポイントカード(1%が多い)」など、複数獲得するチャンスがあるものです。

まず考えたいのは「クレカ」「電子マネー」の積極的活用です。今どき現金払いのほうが「割高」な買い物になっていると考え、ポイントを獲得していきたいものです。

お店が独自発行しているポイントカードも無視できません。特にスーパーマーケットなどが発行しているカードは0.5%を標準としつつも、特定日には「10倍ポイントデー」などを設定しています。ポイントアップデーは忘れずに効率的な買い物をしたいところです。週末のまとめ買いで10000円の買い物をしたとき0.5%還元なら50ポイントですが、5%になれば500ポイントにもなるからです。

毎月の買い物をすべてポイント還元させるのは難しいかもしれませんが、月10万円の利用に1.5%還元を得れば月1500円相当になりますし、物価上昇への抵抗力にもなります。面倒がらずに積み重ねていくと大きな違いになるのです。

(対策3)廃棄ロスを減らす

最後のテーマは「廃棄ロス」です。平たく言えば「賞味期限切れ」をなくすということになります。

一人暮らしには一人暮らしの、ファミリー世帯にはファミリー世帯の悩みがあって、つねに「廃棄」があるはずです。賞味期限切れが明確であるものの廃棄ロスもあれば、野菜など明示がない食材を使い切れずに廃棄する場合もあります。

こうした廃棄が毎週数百円でも減少すればこれは大きな違いです。適量の購入・調理を心掛ける(少し足りないかも、くらいにしてみる)、余った野菜などは下ごしらえして冷凍庫に保管する習慣をつくる、食材を買って自炊と決めた日をドタキャンで外食にしない、など小さな積み重ねにより廃棄ロスを減らすことができます。

子どもがまだ未就学児の頃などは、作る量と食べてくれる量がコントロールできないためある程度の廃棄ロスはやむをえませんが、食育なども行いながら、出された食事は感謝してきちんといただくことを教えつつ、できるかぎり廃棄ロスは減らしていきたいものです。

毎週、数点の野菜を廃棄していたり、食べ残しを片付けることがなかば常態化している場合、これらを半減させることは家計のムダ遣いを大きく減らしてくれることになるはずです。

マイルド物価上昇は把握が難しいが頑張って管理したい

わずかな物価上昇が継続する時期は、なかなか把握が困難です。たとえば家計簿をつけても「前年比」「先月比」で家計がプラスになってしまったとき、それが値上げのせいなのか、ムダ遣いのせいなのかわかりにくくなってしまうからです。

こまめに家計簿をつけているマジメな人ほど「前月より○百円出費が増えてしまった」と反省するわけですが、値上げが原因であれば、自分の失敗を責めても仕方がないことです。

だからといって、家計を把握する努力をサボれば今どれくらい生活コストが必要かを認識できなくなります。家計簿については、あまり目くじらを立てず、「現状を知ること」と、「未来を今よりコントロールしていくこと」に主眼を置いて活用していきたいものです。

今年の物価上昇率であれば3つの対策でなんとか支出を押さえ込めるはずです。ぜひマイルドな物価上昇を乗り切ってみてください。

【著者プロフィール】
山崎 俊輔(やまさき しゅんすけ)

フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、1級DCプランナー。消費生活アドバイザー。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』など。

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